2013 Fiscal Year Research-status Report
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24700557
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
佐藤 彰紘 目白大学, 保健医療学部, 講師 (20460404)
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Keywords | 知的障害 / 加齢 / 身体機能 |
Research Abstract |
25年度は知的障害高齢者の中で手の変形が著明な方を4名ピックアップし,その方々上肢機能について筋電図学的検討・運動学的検討を行った.具体的にはリーチー把握動作時の手関節に関与する筋活動と運動の検討を実施した.従命が不可能な重度の知的障害者を対象としているため,実験は困難を極め,何度もフィールド調査をしながらその方法論を確立しているところである.その中で興味深い発見もいくつかあった.現在分析を進めている途中であり詳細は今後の分析の中で行うが,知的障害高齢者の筋出力では,筋の破格が疑われる症例や,拮抗筋の同時収縮を多用しながら手関節のコントロールを行うという非常に非効率的な筋の運動パターン等が散見された.一定の傾向を見出すことは困難かもしれないが,今後も症例数を増やしていく中で知的障害者の筋出力のパターンのバリエーションについて明らかにできればと考えている. 次に24年度に実施した70名程度を対象とした手の変形(フォーム異常)の有無に関する横断的な調査であるが,当初の仮説通り,知的障害者は加齢により手のフォーム異常を有する割合が増え,特に50歳代以降では8割前後の方が手のフォーム異常を有するという結果となった.そして,この手のフォーム異常はバリエーションが多いものの,加齢が原因とは考えにくい異常が多かったのも大きな特徴である.本研究成果については第16回世界作業療法連盟大会にて発表を行う予定となっている. 知的障害者の移動能力についても調査を行い,加齢により移動能力は低下すること,移動介助される原因が若年時には「危険行為からの回避」が主であるのに対し,高齢者では身体機能に起因する原因が多数を占め,その中で上述同様,加齢では説明がつかない運動麻痺等が原因になっていることも多いということがわかった.本研究成果は日本リハビリテーション連携科学学会第15回大会で報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね行うべき調査は実施し,学会での発表も25年度中に1度行い,26年度6月の学会でも発表することが決まっており,この点に関しては順調に進んでいる.知的障害者の縦断研究のみ未実施となっているが,施設に保管されている記録を拝見したところ,調査を行うには不十分な点が多いものであった.そのため,今回は縦断調査は実施できないものと判断し,これについてのまとめは行わない.その代わりに運動学的調査のデータ数を増やすことができればと考えている.このような状況から行うべき調査はほぼ終了しているので「おおむね順調」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに手のフォーム異常の横断的調査,上肢機能の運動学的調査,移動能力の調査が終了し,あとは論文投稿や学会発表の準備の段階となっている.知的障害者の運動機能の縦断調査がまだ未実施であるが,施設に保管されている記録を確認したところ不十分な点が多く,十分な解析には至らないと思われる.そこでこの縦断調査は今回は行わないこととする.また,上肢機能の筋電図学的検討においてはさまざまなバリエーションがあることが予測され,色々な動作パターンや被験者数を増やす等の対応が必要と思われる.今回,何度か調査を実施する中で方法論が確立され,施設職員の協力も得られやすい状況になっている.そのため,分析に要する時間等考慮しながら,筋電図学的分析を可能な限りデータを増やしたいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定物品の割引販売や実験協力者の人数を減らしたこと等による. データ分析補助者へ謝金や調査施設への交通費として使用したい.
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