2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700557
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
佐藤 彰紘 目白大学, 保健医療学部, 専任講師 (20460404)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 知的障害 / 運動機能 / 成人 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,知的障害者の四肢運動機能が加齢によりどのような退行変化するのかをリハビリテーション的立場から明らかにすることであり,以下の調査を実施した. 最初に手の運動機能と年齢との関係を調査した.手の運動機能については「フォーム異常」を指標としたが,現在までの知的障害者の運動機能研究は実験課題から認知的要素を排除せずに行っているため,認知機能の影響を強く受ける.今回我々が行った手の「フォーム異常」については,認知面の影響を受けずに知的障害者の純粋な運動機能を評価した数少ない研究であるといえる.結果,手のフォーム異常は20-40歳代で約50%前後の方が,50歳代以降では80%前後の方が手の何らかの異常を有するということが明らかとなった.そして,重度のフォーム異常を有する方数名に表面筋電図による運動検査を行ったところ,筋の破格(欠損)が疑われる事例があった.他にも診断名がないにも関わらず,麻痺様の症状を有している方が比較的多くみられたが,いずれもそれに見合う診断を有していなかった.このように手の運動機能には加齢以外にも,先天的な運動器の異常や後天的な神経疾患への罹患等も影響を与えている可能性が示唆された.また,移動能力についても手の機能と同様に加齢につれて身体的な介護依存度が増し移動能力が低下していくことが明らかとなった. 以上より,知的障害を持つ高齢者に対しては運動機能低下が起こり得ることを念頭に置いたケアやリハビリテーションを考慮する必要があると言える. 最後に,これら運動機能低下がどのような経過を辿るのかを明らかにすることを目的に現在ダウン症者の生育歴のデータ解析を進めているところである. 26年度は上記ダウン症者の情報収集・解析を行うとともに,世界作業療法連盟大会での成果発表,27年度開催予定のアジア環太平洋作業療法学会に向けての発表準備,科学雑誌への論文投稿を行った.
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