2014 Fiscal Year Annual Research Report
半側空間失認はメンタルプラクティスの適応となりうるか?
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24700558
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
門馬 博 杏林大学, 保健学部, 助教 (60583680)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 運動イメージ能力 / メンタルプラクティス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年リハビリテーション医学において,運動イメージを用いた治療であるメンタルプラクティスの有効性が注目されている.特に脳卒中片麻痺患者に対しての報告が多くみられるが,その治療効果には意見が分かれている.メンタルプラクティスは運動イメージを用いた治療であるため,運動イメージを想起する能力が必要であると考えられるが,これまでの臨床研究においてその部分を考慮した研究は乏しい.そこで,本研究では運動イメージに大きく影響しうると考えられる半側空間失認を有する脳卒中患者の運動イメージ能力について検討することとした. 昨年度までの健常者を用いた研究から,運動イメージ能力の評価法として,メンタルクロノメトリー(心的時間測定法)と手の心的回転課題(Hand Laterality Judgement Test)が適していると考えられた.最終年度では脳卒中片麻痺患者9名(うち,半側空間失認を有する患者5名,半側空間失認を有さない患者4名)を対象として上記評価を行い,結果を比較した. その結果,主観的な評価法であるVMIQ2のスコアでは両群に差が認められなかったが,メンタルクロノメトリー,心的回転課題ではいずれも半側空間失認を有する患者で有意に低い評価結果となり,半側空間失認の有無が運動イメージ能力に影響することが明らかになった. 運動イメージを用いたメンタルプラクティスは,転倒などのリスクが少なく,疲労も伴いにくいという大きな利点を有している.一方で誤った運動イメージの繰り返しにより,誤った運動学習を伴う可能性もあるということを認識すべきであり,メンタルプラクティスの導入にあたっては運動イメージ能力の評価を行った上で治療の選択を検討する必要があるものと考える.
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