2013 Fiscal Year Research-status Report
嚥下障害治療法としての反復経頭蓋磁気刺激と集中的リハビリテーション併用療法の確立
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24700560
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
百崎 良 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70439800)
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Keywords | 嚥下障害 / 磁気刺激 / 脳卒中 / リハビリテーション |
Research Abstract |
前年度、反復経頭蓋磁気刺激:rTMSを脳卒中後嚥下障害患者に適応してきた。しかし禁忌(てんかん、頭蓋内金属など)が多いため安全に介入できる症例が限られており、未だ嚥下障害の治療法として確立するのは難しかった。また、慢性期の脳卒中後嚥下障害者にはなかなかrTMSの効果が現れにくかった。そこで我々は、機能的磁気刺激:Functional Magnetic Stimulation(FMS)を脳卒中後嚥下障害者に適応した。機能的磁気刺激は磁気コイルに電流を流すことでその垂直方向に磁場を発生させ、その磁気によって生体内に渦電流を起こし神経や筋肉を選択的に刺激する手法である。その刺激原理は電気刺激とほぼ同様に考えてよいが、痛みが少ないために電気刺激より深く、広範囲な刺激が可能であり、有害事象もほとんどないのが特徴である。これまでに呼吸筋に対するFMSが呼吸機能を改善させたとの報告や腸管へのFMSが腸管蠕動運動を改善させたという報告、胃へのFMSが胃排出能を改善させたとの報告等がなされている。嚥下障害に対しても頚部周囲にFMSを行うことで嚥下関連筋群の支配神経に対するニューロモジュレーションを介した嚥下反応速度の向上や咽頭筋群の収縮性改善が期待されるが、嚥下障害に対する機能的磁気刺激の研究報告は見当たらない。まずは脳卒中後軽度嚥下障害者を対象に20Hzと30Hzの機能的刺激前後での短期的な嚥下機能改善度合を比較した。結果、20Hzと30Hz間に大きな違いはなく、刺激前後で咽頭部の神経活動が賦活されたことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究実施にあたり機器や病棟の体制、リハスタッフの体制は整っており特に問題なかった。また今回、研究対象者を外来リハ患者より比較的容易に集めることができたため、研究を順調に進めることができた。今後もこのペースで研究を続けていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次回は機能的磁気刺激の長期効果について検討する予定である。1回の機能的磁気刺激の効果は一時的であるため、永続的なものとして汎化させるには連続刺激する必要があると考えられる。そこで連続刺激を使用した2週間プログラムを実施、前後での嚥下機能変化を嚥下造影検査や咽頭内圧検査にて検討し、刺激終了後も1ヶ月後まで経過を追うこととする。そして本プログラムの安全性と実施可能性を確認する。 ①機能的磁気刺激の長期効果の検証は、東京慈恵医科大学附属第三病院のリハ科病棟で行う。脳卒中、パーキンソン病、誤嚥性肺炎後嚥下障害患者を15~20人(年齢:20歳以上80歳未満)集める。磁気刺激の禁忌(頚部金属、てんかんの既往)のあるものは除外する。14日間入院にて集中的嚥下訓練と磁気刺激の併用療法を行う。 ②入院に先立って嚥下造影検査や咽頭内圧測定検査を行う。嚥下造影検査では嚥下反応速度や咽頭残留程度、喉頭侵入や誤嚥の有無程度を比較検討する。また咽頭内圧測定検査では嚥下時の咽頭内圧と食道入口部圧を測定する。機能的磁気刺激を連日実施、退院日に入院前と同様に嚥下機能を評価し、1ヶ月後にも再度評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、磁気刺激コイルの修理費として考えていたが、当該年度においては医局で負担することとなり磁気刺激コイルの修理費が省けたため次年度使用額が生じた。 次年度には脳卒中後嚥下障害者を対象に磁気刺激の長期効果を検討する予定であるが、アメリカのリハビリテーション学会で成果発表を追加しようと考えており、その成果報告にかかる費用や旅費等にに使用させて頂こうと考えている。
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Research Products
(5 results)