2012 Fiscal Year Research-status Report
筋線維核数の変化に着目した萎縮筋に対する筋力増強運動効果の検証
Project/Area Number |
24700566
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
伊東 佑太 名古屋学院大学, リハビリテーション学部, 助教 (30454383)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リハビリテーション科学 / 運動療法学 / 動物 / 細胞生物学 / 骨・筋肉 |
Research Abstract |
これまでに我々は、萎縮筋をもったマウスに対して高強度の筋力増強運動を行わせる研究を行ってきた。その結果、本運動が筋線維の太さの回復促進に有効なこと、この変化が健常筋肥大の変化よりも早く起こること、さらには筋線維核の数が正常値以上に増加することを明らかにした。この結果は、筋力増強運動による萎縮筋の回復促進には健常筋肥大時と異なるメカニズムが存在することを示唆し、それには筋線維核数の増加が重要な鍵を握っていると考える。そこで本研究は、筋力増強運動によって起こる筋線維核数の増加に焦点を絞り、その時期や関与する因子を明確にすることで、萎縮筋に対する筋力増強運動の効果のメカニズムに迫ることを目的とした。 平成24年度は、筋力増強運動による筋萎縮からの回復促進モデルマウスに対して、EdUのClick-iT法による組織学的評価を用いて、筋衛星細胞増殖が起こる時期や量を検証した。これまで新生した核の同定に用いられてきたBrdUは、免疫組織染色との多重染色が難しく、検出した核の局在を明確に捉えることができなかった。本研究はこの点が改善されたEdUを用いることで、検出した核の局在が筋細胞膜の内側か外側かを明瞭に区分できた。その結果、筋力増強運動による筋萎縮からの回復促進過程において、筋線維内に新生した核を検出できた。最終分化した筋線維核はその後分裂しないといわれるため、観察されたEdU陽性の筋線維核は、主に筋線維外で筋前駆細胞から増殖、分化した細胞が、既存の筋線維に融合したものであると考えられる。このEdU陽性の筋線維核数は、筋萎縮後運動を始めて2日目までに比べて、2日目以降の48時間で10倍多かった。つまりこの2から4日目の短い期間に、急激な筋前駆細胞の増殖と既存筋線維への融合が起こることで、筋線維核数が大幅に増加すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
筋力増強運動による筋萎縮からの回復促進過程における、筋線維核が増加する時期や量、また筋衛星細胞の増殖/分化、融合時期に関して評価、解析を行い、一定の知見を得たが、当初の計画にあった生化学的評価を実施するまでに至っていない。また、当該課題の学術的背景に進歩があったため、評価方法の選択を再考する必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の内容に引き続き、筋線維核数変化のメカニズムを探る。特に、近年進歩した筋衛星細胞に関わる評価方法を念頭に置き、“萎縮筋”に対する“高強度”の筋力増強運動の効果に焦点を絞り、運動の負荷強度や頻度の違いによる筋線維核の動態変化の違いに着目して進める。 なお、現時点までの成果を元に一旦論文投稿する予定である。平成25年度以降は、この内容を発展させ、平成26年度に統合された研究内容の発表を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に到達できなかった評価に使用する予定であった試薬類の金額を残した。この研究費は、平成25年度に繰り越して行う評価のための試薬類を購入するのに必要であり、平成25年度の消耗品購入費として使用する予定である。また受け入れ口座の利息によって45円の次年度使用額が発生した。この研究費は物品購入時の振込手数料等に充当する。
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Research Products
(3 results)