2013 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中患者に対する非侵襲脳刺激法と運動錯覚を併用した神経リハビリテ-ションの開発
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24700570
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
松尾 篤 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (80368604)
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Keywords | 非侵襲脳刺激法 / 経頭蓋直流電気刺激 / 脳卒中 / リハビリテーション |
Research Abstract |
最終年度においては,これまでの健常者に対する研究成果に基づき,脳卒中患者に対する非侵襲性脳刺激法(経頭蓋直流電気刺激:tDCS)と運動錯覚を組み合わせた介入を実施した.健常者の研究においては,tDCSによる上肢巧緻運動の学習効果および鏡による運動錯覚介入の効果を検証しており,今回はこの手法を脳卒中後の運動障害,感覚障害を有する患者に臨床応用することとした.クロスオーバーデザインを使用して,研究参加に同意した脳卒中後患者4名に対してtDCSと運動錯覚治療を組み合わせた介入を実施し,その効果を検証した.全症例ともに,有害事象なく安全にtDCSを実施することができた.介入の結果,運動機能の向上を示したが,tDCSや運動錯覚治療に特異的な機能の回復を示さず,通常リハビリテーションにおける回復と比較しても有意な変化を示さなかった.重度感覚障害例に対するtDCSによる介入効果に関しても,運動および感覚機能の有意な改善を認めず,その効果を示さなかった.機能的近赤外イメージング(fNIRS)による脳活動レベルの変化も検討したが,tDCS陽極刺激側の運動皮質の興奮性が若干増加を認めたが,健常者で観察されたような脳活動変化を示さなかった. 本研究計画では,健常者および脳卒中者に対するtDCSと運動錯覚介入の効果を検証した.健常者においては,運動学習におけるtDCSの有意な効果を認め,また運動錯覚治療との併用によってその効果が逓減することを示した.脳卒中者においては,tDCSおよび運動錯覚介入との組み合わせ治療における有意な治療効果を示さなかった.脳卒中などの病理学的背景にある際,tDCSによる脳活動の興奮や抑制作用の発現は,刺激時点での脳活動の状況に影響を受ける可能性があると考えられ,臨床応用の際には脳の興奮性レベルを運動誘発脳電位などで検査した後に,これらの介入を適応する必要があると考える.
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Research Products
(3 results)