2012 Fiscal Year Research-status Report
NIRS計測における頭皮血流分布と脳機能成分の検出:脳卒中患者の活動部位同定
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24700583
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Clinical research Center, National Hospital Organization Murayama Medical Center |
Principal Investigator |
武田 湖太郎 独立行政法人国立病院機構村山医療センター(臨床研究センター), 生体機能制御解析室, 室長 (50618733)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | NIRS / 皮膚血流 / アーチファクト |
Research Abstract |
リハビリテーション領域などで盛んに用いられている脳機能計測法である近赤外分光法(Near-infrared spectroscopy; NIRS)の計測信号には,頭部の傾斜や皮膚血流由来のアーチファクトといった脳活動以外の成分が少なからず混入する.このアーチファクトを除去することは極めて困難であり根本的な解決法は示されていない.そこで本研究は,頭部傾斜・頭皮血流によるアーチファクトの分布を評価し,NIRS計測信号からアーチファクトを除去する手法を開発することを目的としている. 平成24年度は健常成人を対象とした実験を行った.左運動野近傍に高密度にNIRS計測Probeを配置し,チルトベッドを用いて一定速度で体幹を傾斜させることで定量的な体幹傾斜とNIRS信号に混入するアーチファクトとの関係を評価した.傾斜に依存したNIRS信号(オキシヘモグロビン・デオキシヘモグロビン)の増減が見られることが確認され,また,計測チャネルごと,オキシヘモグロビン・デオキシヘモグロビンそれぞれに特異的なアーチファクトが混入することが示された.更に,通常のNIRS計測Probeペアに対してProbe間距離の短いチャネルのデータを解析に用いることにより(Yamada et al., J Biomed Opt 2009),アーチファクト成分をNIRS信号から除外することで安静レベルと同等のNIRS信号が得られることを実証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の予定では,傾斜角とNIRS信号の関係はどのような分布で混入するか,オキシヘモグロビン・デオキシヘモグロビンそれぞれへ頭部傾斜が与える影響を調査することにあり,それらの目的は達成した.ただし,予定では三次元動作解析装置や加速度計のデータとの関係によりアーチファクトを算出することとしていたが,この手法では高精度のアーチファクト除去は難しかったため,Probe間距離の短いチャネルのデータを解析に用いる手法へとアーチファクト除去法を修正した.なお,論文を出すところまでを予定していたが現時点ではアクセプトに至っていないため,(2)おおむね順調に進展している,とした.
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Strategy for Future Research Activity |
健常成人・脳卒中片麻痺患者を対象とし,運動関連領域を広範囲にカバーするよう設計したProbe配置を用い,手指運動時の皮膚血流分布を計測する.主成分分析により高い寄与率の成分を抽出しその分布を同定する.健常者・患者でデータを比較し,脳卒中片麻痺患者に特有の皮膚血流分布が存在するのかを調べる.特に,左右対称性,健常手・麻痺手運動時の差異,麻痺の程度との関係に着目する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,論文投稿費・外国語校閲費,論文別刷費,学会誌投稿料などの論文発表費用,旅費・大判ポスター印刷費の学会発表費用のほか,自作の計測関連装具に関する費用を計上した.
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Research Products
(9 results)