2012 Fiscal Year Research-status Report
視力・視野障害者の日常生活動作における頚部負担の運動学的手法による研究
Project/Area Number |
24700586
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
中村 直子 筑波技術大学, 保健科学部, 助教 (00455940)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 視覚障害 / 動作分析 / 頸椎 |
Research Abstract |
1.研究目的 視覚障害者の日常生活動作(特に机上動作・歩行)と頸部の動きの関係性を、症状のタイプ別に調べ、頸部に負担のかかる動作を検討し、対策を考察する。具体的には、読む・書くなどの机上動作や歩行などの日常生活動作を選び、動作中に頸にかかる負担を調べるため、頸部の角度、角速度、筋電位、三次元動作解析、筋力などを測定する。視覚障害のタイプ別(盲・弱視・視野障害)に健常者(以下晴眼者)と比較し、頸部への負担の予測、痛みへの対策や適切な視覚補助具等を検討するための基礎資料を作ることを目的とする。 2.研究の意義・重要性 視覚障害と動作との関係についての報告は少なく、研究されている内容は姿勢制御能力の関係を分析したものや日常生活動作との関係を調べた物が中心である。本研究は、視覚障害者の頸部の負担に着目し、その軽減、対策を目的とした新たな視点の研究である。本研究により、視覚障害の症状別に日常生活動作の特徴や頸部負担の実状が明らかになり、その対処方法や各個人に合った視覚補助具の検討をするための基礎資料となることが予想される. 3.平成24年度の実績 平成24年度は機器類の操作確認や測定項目の検討といった測定環境整備を中心に行った。頸椎の角度・筋電位の予備測定として研究代表者が角度計・角速度計・筋電計を装着し、机上動作や歩行動作を行った。その結果、当初予定していた脊柱形状計測分析器Spinal mouseによる頸椎の角度測定は困難であるとの結論に達した。そのため、他の角度測定方法を再検討し、筋電計と同期可能な2軸角度計および小型モーションレコーダにより頸椎の角度を測定することに計画を変更した。三次元動作解析については、歩行動作解析の予備測定を行った。これについても、障害物のある床での歩行解析について、環境設定の検討を重ねている。次年度からは協力者を募り、上記計画の測定を開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、多くの測定機器を使用するが、平成24年度は機器類の操作確認や項目の検討に時間を要した。特に研究開始当初、脊柱形状計測分析器 Spinal mouse による静止動作時の頸椎角度測定を計画していたが、デモ機による予備測定で検討した結果、頸椎に関してはこの機器での測定は困難であるとの結論に達した。そのため、その他の角度測定方法を再検討し、筋電計と同期可能な2軸角度計および小型モーションレコーダにより頸椎の角度を測定することに計画を変更し、その結果、当初計画よりもやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度からは、これまで検討した測定条件での操作確認等を行い、倫理委員会審査後、協力者を募って測定を開始する予定である。既に何人かの視覚障害を有する方から、研究協力への口頭による了承を得ている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究開始当初は脊柱形状計測分析器Spinal mouseを購入予定し、座位静止時の頸椎角度等を分析する予定であったが、予備測定により頸椎の形状分析は困難であることが分かったため、本機器は購入しないこととした。代わりに、2軸角度計および小型モーションレコーダにより頸椎の角度・角速度を測定することとなり、平成24年度予算より2軸角度計や机上動作測定に必要な机や椅子等を購入したが、当初計画より若干の差額(次年度使用額)が生じた。そのため平成25年度は、平成25年度分予算(90万円)と平成24年度残額分(約30万円)の研究費使用を予定しており、次年度使用額は主に謝金に充当する。具体的には設備整備費として、小型モーションレコーダおよびイベントマーカー・アタッチメント・ソフトウェア(合計約30万円)を購入し、筋電計による筋電位の変化と小型モーションレコーダの角速度のデータを同期できるように環境整備を行う。被験者および実験補助者の謝金として35万円、筋電図の電極やマーカー、レントゲンフィルムといった消耗品の購入で15万円、情報収集や学会への旅費として25万円、その他の校閲費・学会参加費等の経費として15万円を予定している。
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