2013 Fiscal Year Annual Research Report
双方向車体型ブレイン-マシンインタフェースを用いた歩行補綴に関する基礎的研究
Project/Area Number |
24700587
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深山 理 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (30508205)
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Keywords | ブレイン-マシンインタフェース / 小動物移動ロボット / 大脳可塑性 / 微小電気刺激 |
Research Abstract |
本研究は、侵襲的な電極留置を伴う歩行補綴ブレイン・マシンインタフェースにおいて、長期的に安定した計測を実現するため、大脳皮質に対する微小電気刺激により神経細胞の活動特性変化を促し、動作推定精度の改善を目指したものである。 実験プラットホームとしては、自作開発のラット搭載車である“RatCar”を用い、まず長時間実験を実現するためのシステム改善を行った。具体的には、神経電極の開発・改良、計測・刺激系の小型化によるスタンドアロン化と通信の無線化等が挙げられる。また、より精密な実験条件の検討を行うため、車輪型ラット歩行計測デバイスおよび急性実験系を併用した。 平成 25 年度においては、(i)ラットの自発歩行時に運動皮質に対して連続パルス状の微少電流刺激を与え、歩行動作に対する相関性を高める事を意図した実験を行った。また、(ii)麻酔下ラットにおいて後肢皮膚への触覚刺激と感覚皮質に対して微少電流刺激を同期的に呈示し、刺激に適した条件の検討を行った。(i)については、当初ラットに牽引された車体から、移動量に応じて電流刺激を呈示するよう設計したが、車体牽引の負荷によってラットの歩行動作が不自然となる問題が生じた。そこで、車輪上デバイス内の自由歩行に応じた刺激呈示に変更し、刺激後に神経活動と歩行動作との対応関係に変化が生じることが確認された。ただし、必ずしも期待したとおり相関の強まる変化ではなかった。一方、(ii)の実験系ではより明確に末梢入力に対する相関の上昇が見られた。このように、当初目指した車体上で完結する刺激・計測系としては課題が残るものの、双方向 BMI を通じて身体動作に応じた微小電気刺激を与え、歩行補綴に適した神経活動への変化を促すアプローチの妥当性について、前向きな示唆を得ることができた。
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