2014 Fiscal Year Research-status Report
3軸触覚センサによる咀嚼、嚥下メカニズムの解明および食感の定量化
Project/Area Number |
24700589
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹井 裕介 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 特任助教 (00513011)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 嚥下 / 咀嚼 / 力センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、液体、半固体の食品に加えて、固体食品の咀嚼、嚥下実験を行った。具体的には、固体食品として煎餅、冷たい食品としてアイスクリームを用いて実験を行った。その結果、口蓋に設置した3軸力センサによって計測した、舌が口蓋に及ぼす力の時系列データから、咀嚼する際に左右両側の奥歯に食品を振り分ける際の舌の動きおよび、咀嚼が完了し嚥下する際に奥歯で噛み砕いた食品を舌を用いて舌の上に運ぶ、一連の舌の動きを計測することに成功した。 また、本研究で製作し、使用している3軸力センサの力検出部であるピエゾ抵抗素子は、歪みのみならず、熱に対しても抵抗値が変化する特性があるため、センサを口蓋に設置後、口蓋の温度となじむまで実験を行うのを待つ必要があった。また、冷たい食品や、暖かい飲料など、口腔内の温度と温度が異なる試料を使用した実験では、センサ出力に温度変化による影響が大きく表れることが問題であった。そこで、我々は今回、口蓋貼付用の3軸力センサチップ内に温度センサを並列して製作し、温度補償を行うこととした。これにより、アイスクリームや熱いお茶など、口腔内と温度差がある飲料や食品を咀嚼嚥下する際の舌の運動を正確に計測することが可能となった。 また、被験者が嚥下実験を行う際に手元にハンドスイッチを持ってもらい、被験者が自身で感じている嚥下を行っているタイミングを、舌の動きと併せて計測した。その結果、嚥下する際の姿勢や、コップや湯飲み茶碗など使用する器の種類によって、嚥下する際の意識と実際の舌の動きとの間にズレが生じやすい条件があることが分かった。これらの成果によって、誤嚥が起きにくい嚥下方法の提案が進むことが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、MEMSプロセスにより製作した口蓋貼り付け用3軸力センサを用いて、液体や半固体形状の食品に加えて、固体形状の食品を咀嚼嚥下時の舌の動きの計測を行った。また、予期せぬ成果として咀嚼時の歯の振動の計測を行った。これは、ヒトが食品を咀嚼する際の噛み応えなどの食感の計測に繋がると期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、前年度に様々な被験者で行った実験データを取りまとめる。また、研究成果を論文投稿および学会での発表を通じて社会へ発信する。
|
Causes of Carryover |
研究計画自体は、滞りなく平成26年度に終えることができたが、研究成果の社会発信のために、論文投稿および学会発表のために、予算を平成27年度に持ち越すこととした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿のための英文添削費、および論文投稿費、学会発表のための学会参加費および旅費としての使用を計画予定している。
|
Research Products
(1 results)