2013 Fiscal Year Annual Research Report
院内の安全な自立移動を目指したDMD患者の操作能力抽出と移動システムの開発
Project/Area Number |
24700591
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小竹 元基 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10345085)
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Keywords | インターフェイス / 操作能力 / デュシェンヌ型筋ジストロフィ / 電動車いす / 可操作力 / 可操作域 |
Research Abstract |
本研究では,デュシェンヌ型筋ジストロフィ(以下,DMD)患者の病院内における安全な移動を確保するための電動車いす移動システムの構築を目指す.現状,筋活動の劣化から、関節角度の拘縮、関節間力の低下、上肢・手指の変形に伴い,ジョイスティック操作が困難になり、その程度は個人差が大きい。そのため,DMD患者の移動は、一様的な対応は難しく、介助者に頼らざるをえない状況である。研究協力者の下志津病院において、DMD患者の日常生活のヒアリング、上肢機能障害分類から、DMD患者は指先の機能を残存することがわかり、入力装置の要求機能を以下のように定めた。(1) 入力装置は指の小さな力,小さな動きで操作することが出来ること。(2) 手指が変形していても扱うことが出来ること。(3) 入力装置は患者の手元で扱えること.(4) 入力装置は電動車いすの方向制御,速度制御が可能であること。 (1)、(2)の機能を達成するため、各DMD患者の能動的に動かそうとする指先の力と指先の可動域を把握する手法を提案し、その手法により得られたデータを基にプロトタイプの試作、操作性の評価を行った結果、各DMD患者の能動的に動かせる指先の力、可動域を設計パラメータとして考慮することにより、指先の小さな力、小さな動きで操作可能な入力装置を実現した。次に、電動車いすの操作を考える場合、上記の(3)、(4)の機能を達成する必要があり、上肢モデルを用いた指先の力の入れやすい方向を可操作力楕円体として導出する手法を提案し、入力装置の操作位置を一意的に決定することを可能にした。 最終的には、上記の四つの機能を満たす電動車いす移動システムを開発し、DMD患者の体調等により、多数の患者に対して、実験、評価を行うことができなかったが、最終的には院内での電動車いす移動を実現し、その移動システムの方策が妥当であることを示した。
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