2013 Fiscal Year Annual Research Report
同一課題を行う他者のパフォーマンスの影響:他人のエラーは伝染するか?
Project/Area Number |
24700608
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 匡樹 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (40392196)
|
Keywords | 運動制御 / 共同課題 / 最適化 / 社会性 |
Research Abstract |
本研究の主な目的は,1)隣合わせで同一課題を行う他者のエラーが,自身のパフォーマンスにどのような影響を及ぼすか,2)その他者と共同課題を行う際,どのようにそのエラー特性が自身のパフォーマンスを修飾するか,を明らかにすることであった.今年度は2)に着目し,共同課題においてパートナーのエラーの影響がどのように生じるのかを,ヒト同士による継続的共同力発揮課題を用いて検討した. 実験ではペアによる共同力発揮課題(グループの力の平均値を標的力に一致させる)を行い,個別課題時のパートナーのエラーの大きさなどの因子が共同課題時のペア内の力配分にどのような影響を及ぼすのかを調べた.その結果,この力配分には個別課題時のパートナーのエラーの大きさや最大力の他,自閉症スペクトラム指数により評価された社会性が影響を及ぼしていることが示唆された.また,ペアによるエラーの修正はほぼ同位相で行われていたが,これは両手課題を対象とした一部の先行研究の報告と矛盾するものであったため,この特性が個人間共同課題に特有のものであるかを類似の両手課題との比較により検証した.結果,両手課題時の左右の力変動の位相は基本的には個人間課題と同様で,その特性は周波数帯域に依存することが明らかとなった.さらに,パートナーの影響が人数によってどのように変わるかを検討するために,2人組および3人組による共同力発揮課題の組織化を比較したところ,2人組課題においてはパートナーのエラーの大きさが共同課題時の組織化に有意な影響を及ぼしていたが,3人組になるとパートナーのエラーの影響は消失し,パートナーの社会性の影響が強くなった. これらの結果は,パートナーとなる他者のエラーの観察が,共同課題においては運動能力に基づく最適化と社会的干渉の両方を引き起こしうること,またそれぞれの影響は共同課題の人数や課題に依存することを示唆した.
|
Research Products
(12 results)