2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700610
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂本 将基 熊本大学, 教育学部, 准教授 (80454073)
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Keywords | 身体意識 / 模倣 / ラバーハンド錯覚 |
Research Abstract |
本研究では,「身体のイメージが変容しやすい人ほど,模倣能力が高い」という仮説を検証することを目的としている.昨年度は,模倣能力と身体イメージの変容の間に相関関係が認められるのか否かについて検討した.模倣する動作には肘関節の屈曲動作を用いた.身体イメージの変容は,「ラバーハンド錯覚」から評価した.ラバーハンド錯覚を引き起こすために,被験者の手を衝立で隠し,被験者の目の前にはゴムでできた偽の手の模型を置いた.実験者が被験者の手と偽の手の対応する位置を同時に繰り返し触ると,被験者は隠されている自分の本当の手ではなく,偽の手の触れられた部分に触覚を感じるようになった.その結果,ラバーハンド錯覚が生じやすい人(身体イメージが変容しやすい人)ほど模倣能力が低い傾向にあり,仮説を裏付ける結果は得られなかった. しかし,昨年度の実験では,被験者が肘関節の屈曲動作を見た後に模倣を行ったため,自身の記憶を手掛かりに模倣を行っていた可能性がある.これでは,研究実施者が立てた仮説の検証を行うことが難しい.そこで今年度は,被験者が肘関節の屈曲動作を見ながら模倣をする状況を設定して実験を再度行った.この状況においては,ラバーハンド錯覚の程度と模倣能力が高さの間には有意な正の相関関係が認められた.また,肘関節の屈曲動作の代わりに,被験者がこれまで全く行ったことのない新奇動作(ジャグリング運動)をモデルとしたときにも,同様の結果が得られた.これらのことは,研究実施者が立てた仮説をある程度支持するものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度得られた成果の妥当性を確かめるために,実験条件を精査して再実験を行ったため.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた成果を基に,来年度は「全身」の身体イメージの変容を評価する予定である.加えて,身体イメージの変容の程度と模倣能力の間に因果関係が認められるのか否かについても検討する.得られた成果は,関連学会で発表した後,国際雑誌に投稿する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進みが若干遅れたため,予定していた機器の購入を見送った. 研究成果をまとめ,発表するための文献などを購入する.また学会等で成果発表を行うための旅費に充てる.
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Research Products
(3 results)