2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700610
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂本 将基 熊本大学, 教育学部, 准教授 (80454073)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 身体イメージ / ラバーハンド錯覚 / 模倣 |
Outline of Annual Research Achievements |
模倣は体を使った行為であるが,これが「脳」の働きであることはいうまでもない.これまでの研究では,模倣中に活動している脳部位を明らかにすることに焦点が当てられており,なぜ模倣が得意な人と不得意な人がいるのかについては十分に検討されてこなかった.そこで本研究では,「身体イメージの変容」という現象に着目し,「身体イメージが変容しやすい人ほど模倣能力が高い」という仮説を立て,模倣能力を決定する一要因を明らかにすることを目的とした. 身体イメージの変容を評価するために,ラバーハンド錯覚という手法を用いた.被験者の手を衝立で隠し,被験者の目の前にはゴムでできた偽の手の模型を置いた.実験者は被験者の手と偽の手の対応する位置を同時に繰り返し触った.すると,被験者は隠されている自分の本当の手ではなく,偽の手の触れられた部分に触覚を感じるようになった.このとき,被験者の手があると感じる位置は模型の手の方へ移動した.移動距離は錯覚の程度を反映するため,本研究では,この距離を身体イメージの変容の値とした. 模倣能力の測定には,被験者がこれまで経験したことのある動作と,全く経験したことのない動作の2つを用いた.前者では,被験者は,眼前のモニターに映る第三者が行う肘関節の屈曲動作を模倣した.後者では,被験者は,眼前のモニターに映る第三者が行うジャグリング動作を模倣しながら覚えた. その結果,肘関節の屈曲の模倣が正確にできる被験者ほど,ラバーハンド錯覚における錯覚量(身体イメージの変容の程度)が大きいことが明らかになった.また,ジャグリングの成功回数が多い被験者ほど,身体イメージの変容の程度が大きいことも明らかになった. これらの実験結果から,模倣をする際には,自身の身体イメージを変容させて、目的とする動きに一致させている可能性が示唆された.
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Research Products
(3 results)