2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの知覚における確率共振現象の生理学的メカニズムの解明
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24700617
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
相原 孝次 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 専任研究員 (10600918)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | TMS-EEG / 安静状態ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
安静時の脳には複数の同期活動するノードから形成されるネットワーク(RSN)が存在すると考えられている。一方、経頭蓋磁気刺激(TMS)を行うと脳波(EEG)に振動が誘発され、その周波数は刺激部位により異なることから、脳は部位毎に独自の自然周波数を持つことが示唆されている。本研究では、この知見を拡張して、各々のRSNは独自の自然周波数で同期振動しているという仮説を立てた。この仮説を実験的に検証するために、代表的なRSNであるデフォルトネットワーク(DMN)と背側注意ネットワーク(DAN)に着目し、TMS-EEG実験を行った。 実験で得られたEEGデータにはTMS由来のアーチファクトが混入していた。自然周波数を正確に推定するためには、アーチファクトを適切に除去することが不可欠であるため、除去方法を検討した。まず、主成分分析や独立成分分析(ICA)によりアーチファクト成分を推定、除去する方法では、TMS直後のスパイク状の成分を十分に除去できなかった。次に、TMS直後のスパイクを含む数十ミリ秒の区間を除去して補間する方法では、過不足が生じた。最後に、TMS直後の数ミリ秒の区間を除去してからICAを行い、アーチファクト成分を推定、除去した後、欠損区間を補間するハイブリッド手法では、アーチファクトをほぼ過不足無く除去できた。 ハイブリッド手法でアーチファクトを除去したEEGデータに対し時間周波数解析を行った。DANノードである前頭眼野や頭頂間溝へのTMS刺激では共通して約10Hzのアルファ振動が誘発され、DANの自然周波数がアルファ帯域であることが示唆された。しかし、DMNノードの側頭頭頂接合部への刺激では、TMSにより頭皮筋が収縮したことに由来する大きなアーチファクトが十分には除去できず、正確に自然周波数が推定できなかった。以上から、仮説をサポートするのに十分な証拠は得られなかった。
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