2012 Fiscal Year Research-status Report
「動きの連続」に着目したダンス指導力向上のための資料映像の作成と活用
Project/Area Number |
24700620
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山崎 朱音 静岡大学, 教育学部, 助教 (40609301)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 創作ダンス / 動きの連続 / 必修化 / 現職教員 |
Research Abstract |
本研究は、現職教員のダンス指導力を向上するための資料映像の作成とその活用方法を考案することを目的としている。 平成24年度は新学習指導要領が完全実施になり、中学校1・2年生でダンスが必修化された。既に東京都、愛知県等においては、ダンス授業の実施率や指導内容、また現職教員がダンス授業を実施するにあたっての問題点を明らかにしている。しかし、筆者の所属大学がある静岡県では、ダンス授業の実態を把握する調査が行われていない。そこで、静岡県内の現職教員(既にダンス授業の指導を行っている現職教員と今後授業を実施する現職教員)を対象に県内の実態(実施種目・現職教員の抱える問題点)の把握と、現職教員と舞踊教育専門家間にみられる専門的知識の違いとその知識を現職教員に伝達する方法を検証することを目的とした質問紙調査を実施した。 その結果、対象とした現職教員の所属校で授業で取り扱っている種目は、「創作ダンス」と「現代的なリズムのダンス」が同率であった。また現職教員がダンス指導をするにあたっての問題点(不安に思う点)は、「指導者自身の指導力」「生徒の興味」「授業展開の仕方」の3点が主に挙げられた。特に「自分が踊った経験がない」といった教員自身の実技能力不足を指摘する回答があった。授業で実施している内容についても、「行事に向けた授業内容」やダンス種目には含まれない内容(エアロビクスなど)をダンスとして取り扱っている等、ダンスの特性を理解しないまま授業が実施されていることが危惧された。つまり、ダンスの特性や子どもに「学ばせたい動き」、言い換えればダンスの「良い動き」が何かを現職教員へ伝えることが必要であり、その方法には実技研修の場を設け、教員の自らの体験を通してこれらを共有することが必要であることがわかった。その際、自身の体験に併せて資料映像をみることで、その経験がさらに定着されることも示唆できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、現職教員のダンス指導力向上を目的とした資料映像を作成し、その活用方法を考案するために、次の計画を3か年で進めている。①現職教員が抱えるダンス指導の問題点と、現職教員と舞踊教育専門家間にみられる専門的知識の違いを、現職教員を対象とした質問紙調査より明らかにする。②新学習指導要領、指導書、指導法DVDより舞踊教育専門家が意味する「動きの連続」を明確化し、③映像化する。これについて、数名の舞踊教育専門家と協議・検証し、再度動きの映像化を試みる。また、④教員養成課程の学生に対するダンス実技授業で資料映像を用いた授業を行い、記録映像、学生への質問紙調査から資料映像の内容の検証、さらには授業内での資料映像の用い方を検討する。 平成24年度は①の計画を達成することができた。静岡県内の実態についてその一端を知ることにより、資料映像の活用の場、方法、そして資料映像が指導力向上に繋がる可能性を示唆することができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は計画の通り②以降の内容に取り組んでいく。特に②指導要領や専門書から、舞踊教育専門家が考える「動きの連続」を明確にし、それを③映像化することを中心に行っていく。「動きの連続」の明確化については、複数の専門家との協議を予定している。併せて、資料映像を作成するための人材も確保しているため、今年度の計画をスムーズに遂行することができる。 また、昨年度行った現職教員が抱える問題点の把握は、今年度も引き続き調査を行っていく。これに加え、現職教員がどのような視点でダンスの動きをみるのか、先行研究よりその観点を考案し、質問紙調査にて実態を把握する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降は、「動きの連続」を明確にするために必要な、指導書、指導法DVDを購入する。また、明確にした内容を他の舞踊教育専門家を協議し(旅費)、さらに資料映像を作成するための機器(ビデオカメラ、映像編集用のパソコンやソフト)を購入する。資料映像の作成に携わる人材に対する謝金、旅費も必要である。さらに、研究の成果を学会で発表、論文投稿し、研究の成果を広く発信するための費用を要する。詳細は以下の通りである。 【物品】デジタルHDビデオカメラ、パソコン(Macintosh(映像編集用)・Windowsノート)、映像記録用HD、DVDレコーダー、ICレコーダー(2台×10千円)、映像編集ソフト(AdobePremiereProCS5.5)、映像処理ソフト(TMPGEnc Video Mastering Works5)、ダンス授業に関する書籍・DVD、マイク(受信機・送信機)、DVD-RM(動画保存用)(100枚) 【旅費】国内 調査、研究交通費(静岡~関東×12回)、国内・国外 成果発表交通費・宿泊費 【謝金】外国語研究発表原稿の校閲、協力者謝金、補助者謝金 【その他】学会誌投稿料、文献複写費
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