2013 Fiscal Year Research-status Report
原発事故を受けた子どもの日常回帰を支援する“表現あそびプログラム”の開発
Project/Area Number |
24700627
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
弓削田 綾乃 早稲田大学, オープン教育センター, 助教 (90432038)
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Keywords | 子どもの表現あそび / プログラム / 親子の触れ合いあそび |
Research Abstract |
本研究は、福島県の東京電力第一原子力発電所の事故を受け、周辺地域の子どもを対象として、心身に効果的な“身体表現あそび”のワークショップの実践と検証を通して、プログラム開発を目指したものである。25年度は、24年度に実施したワークショップについて内容および参加者の感想を検討するとともに、プログラムの構築作業をおこなった。 まず、プログラムに必要な要素として、次の点が考えられた。 1.狭い空間、日常生活を活用したあそび 2.身の回りにあるものを遊びのヒントに3.保護者との身体接触 4.親自身の気づきをうながす内容 5.行動に対する理論的裏付け 以上の点を鑑みたプログラムを構築するために、千葉県M市での親子表現あそびのワークショップ実施、東北地域での身体表現ワークショップへの参加、舞踊・身体表現の実演家(民族舞踊、バレエ、ミュージカル、ボディワーク等)らとの協同による表現あそびの試行等をおこなった。その結果、次のことが検証された。 1.テーマ、物、音楽等に季節感、日常性、非日常性などを混在させ、個々のイメージ世界を深めることで、身体表現が豊かに展開した。2.活動の最初と終わりに1対1での表現を取り入れることで、他者との表現が促された。3.子どもは自身の表現に夢中になる傾向があるが、次第に他者の表現を受け入れ、一緒に表現しようとする場面がみられた。 以上のように、ある程度効果的なプログラムが可能と考え、今後、冊子にまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
“親子で楽しむ表現あそび”の冊子化を、25年度中に実施する計画だったが、プログラムの検証とともに、地域交流促進への広がりの必要性が見出された。これを受けて25年度は、多様な身体表現ワークショップを調査対象に加え、幅広い専門家の実践協力を仰ぐことに重点を置いたため、冊子化が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの結果を受けて、26年度は、成果公表と成果還元を主な方向性と定める。具体的には、口頭発表および論文投稿、プログラム開発の資料作成と配布である。特に資料は“親子で楽しむ表現あそび”として、対象地域の協力者ならびに自治体等への冊子配布を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度に、被災地での家庭内親子あそびのプログラムを実践的手法で検討したところ、地域交流促進への広がりの必要性が見出された。これを受けて25年度には、千葉県ならびに東北地域の地域活動である表現ワークショップを対象に加えるとともに、幅広い専門家の実践協力を仰ぐことが新たに必要となった。それらをまとめた“表現あそびプログラム”の冊子を、26年度に作成することにしたため、未使用額が生じた。 このため、“表現あそびプログラム”の冊子作成と、対象地域の協力者ならびに自治体への冊子配布、およびその成果の分析と公表とを26年度に行うことと、未使用額はその経費に充てる。
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