2012 Fiscal Year Research-status Report
体育授業の構想と実践を担う教師の力量形成を目指した教師教育の改善に関する研究
Project/Area Number |
24700635
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
嘉数 健悟 沖縄大学, 人文学部, 講師 (50612793)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究を実施するにあたり,体育授業の構想や実践にかかわる教師の知識,信念,授業観などについて,国内外の動向から従来の研究の成果や課題を導出する必要があった。そのため,平成24年度は「1)文献調査及び論点整理」,「2)国外の調査研究(シンガポール)」について中心的に取り組んだ。 まず,「1)文献調査及び論点整理」は,国外,とりわけ欧米を中心とした教師の知識や信念などに関する文献の収集を行い,国内における同様の研究との比較を通して,体育教師に求められる力量と注目すべき研究領域について検討した。その結果,わが国では教師の「信念」を検討する際に,授業観や子ども観などとの関連において検討されていること,授業観が授業の構想や実践に関する「力量」形成において重要な要因として捉えられていることなどが明らかとなった.一方で,わが国では,質問紙調査によって体育教師志望学生の体育授業観の実態や変容を分析した研究や研究の必要性についての提言はあるものの,体育教師志望学生の体育授業観の様態について教員養成カリキュラムとの関連において調査した研究は,管見の限りでは皆無に等しいことも明らかとなった。 次に「2)国外の調査研究(シンガポール)」では,シンガポールの教員養成機関であるNIEを訪問し,保健体育科教育を専門とするMatthew Atencio氏と現職教師の研修を担当する齋藤英介氏に対してインタビューを実施した。また,その際に,NIEの体育教員養成カリキュラムに関する資料も収集した。 最後に,今年度は予備調査として体育授業観の因子構造を明らかにすることを目的として,教師志望学生を対象として事例的に検討した。その結果,「生徒を動機づける授業」「雰囲気の良い授業」「理想的な授業」の3つの因子から構成されていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,「1)文献調査及び論点整理」と「2)国外の調査研究」が主な目的であった。 まず「1)文献調査及び論点整理」ついては,当初の計画通り,これまでの国内外における先行研究の議論を踏まえながら,体育教師に求められる力量と注目すべき研究領域について検討し,体育教師の力量形成に関する先行研究の成果と解明されるべき課題を明らかにすることができた。 また「2)国外の調査研究」については,シンガポールの体育教員養成カリキュラムと現職研修に関する資料や情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,当初の計画通り研究を進めていく予定である。 まず,平成25年度は,体育授業に関する大学の講義が教師志望学生の保持する知識や授業観に与える影響について,体育科教育法の授業前後において調査する(研究1)。また,初任体育教師の授業の構想や実践にかかわる教師の知識,思考,信念,授業観などに関する質問紙調査とインタビュー調査,授業の参与観察を実施する。さらに,国外の調査研究として,教員養成段階と現職教育段階で要求される教師の3つの能力規準(「知識(knowledge)」「指導能力(performance)」「態度・意欲(disposition)」)が開発され,カリキュラムレベル・授業レベルで個々の能力を学生に習得させるための様々な試みと検証結果が報告されているアメリカの調査を実施する。なお,前年度に調査を実施したシンガポールについても,より詳細な情報を得るために調査を実施したい。 最終年度にあたる平成26年度には,3年間の調査結果の分析・検討をもとに体育教育を担う教師の授業観などの様態やその変容について総括的な考察を行えるように,計画的に研究を実施していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,国外の調査研究と研究成果の発表のために旅費が多くなることが予想される。また,収集した資料の整理やデータの入力など,研究補助としての人件費も多くなることが予想される。さらに,授業観察等のデータ収集に必要なデジタルビデオカメラも購入する予定である。
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Research Products
(6 results)