2012 Fiscal Year Research-status Report
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24700637
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Research Institution | Physical Fitness Research Institute |
Principal Investigator |
泉水 宏臣 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 研究員 (30450753)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 運動 / メンタルヘルス / 精神疾患 / 前部島皮質 / fMRI |
Research Abstract |
近年、メンタルヘルスの悪化が社会的問題となっている。うつ病等の気分障害総患者数は、1996年が43.3万人だったのに対し、2008年には104.1万人と12年間で2.4倍にも増加している(厚生労働省大臣官房統計情報部, 2009)。このようななか、精神疾患が5大疾病の一つとして扱われるに至り、その対策が急がれている。最近では、運動がうつ病患者の抑うつ度を改善する(Mead, 2009; Rethorst, 2009)ことから、これらの問題を解決する手段の一つとして運動が注目され始めている。しかしながら、運動が精神面に効果を及ぼすメカニズムの解明が不十分なためか、運動は精神疾患の治療として広く普及していないのが現状である。 本研究では、運動が精神面に及ぼすメカニズムについて、これまでの研究とは異なる視点から検討する。近年の脳科学研究では、感情は身体状態を総合的に評価し、ホメオスタシスの維持に貢献する機能を持つと考えられている(Craig, 2009)。このような機能の中心を担うのが前部島皮質と考えられており、身体状態を統合して主観的感情を生成すると考えられている。我々は先行研究において、運動トレーニングが前部島皮質の灰白質量に影響を及ぼし、かつ、メンタルヘルスを改善することを示した(Gondoh, 2009)。そこで我々は、運動によるメンタルヘルス改善のメカニズムとして、前部島皮質の機能改善があると仮説を立てている。本研究では、運動が前部島皮質の機能に及ぼす影響を検討するため、前部島皮質の機能を評価する方法を開発し、運動が前部島皮質の機能に及ぼす影響を検討する。 平成24年度は、前部島皮質の機能を評価するため、感情を表現した身体活動の動画を作成した。今後、この動画を用いて、前部島皮質の機能をfMRIを用いて測定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前部島皮質を評価するための動画を作成したが、実際に島皮質を活性化するかどうかの確認がまだできていない。しかしながら、今年度中に確認し、運動が前部島皮質の機能に及ぼす影響について検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
6月に、感情を表現した身体活動の動画を観察した際の脳活動をfMRIを用いて測定する予定である。その後、8月~9月にかけて、健常者および精神疾患患者に対して運動を実施する。10月~1月にかけて画像解析を行い、3月までに結果をまとめ、論文化を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品費:動画の編集ソフトや脳画像解析用の物品の購入費用として20万円を計上する。 消耗品費:DVD-Rやファイルなどの事務用品として5万円を計上する。 旅費:第68回日本体力医学会、第64回日本体育学会第64回大会、日本精神障害者リハビリテーション学会、第10回日本ウェルネス学会の旅費として、30万円を計上する。 謝金等:動画の編集費用に40万円を計上する。被験者謝金として40万円を計上する。 その他:fMRIの使用料として15万円を計上する。
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