2015 Fiscal Year Research-status Report
アスリートの対話的競技体験がパフォーマンス発揮に及ぼす影響
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24700642
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮田 香織 (江田香織) 筑波大学, 体育系, 研究員 (30612478)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 対話的競技体験 / アスリート / 競技力向上 / 自己形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は身体に注意を向け,様々な感覚や感情と向き合う体験様式である対話的競技体験がアスリートの競技力向上と心理的発達の両側面の発達を促進するという仮説を検証することを目的としている.これまでの研究では,対話的競技体験がアスリートの心理的発達を促進することを確認してきたが,競技力向上への影響については十分な確認ができていなかった. 本研究でのこれまでの取り組みでは,対話的競技体験尺度の精緻化を行い,対話的競技体験の概念的妥当性を確認することができた (研究課題 1).これにより,その後の研究で対話的競技体験尺度を用いる際の信頼性が高められた.次に対話的競技体験を促進すると考えられるグループ箱庭療法を集団競技チームに用いた介入を行い,対話的競技体験が促進されることにより,チームワークが活性化され,パフォーマンスも高められることを確認した (研究課題 2). 平成27年度は,メンタルトレーニング経験者及び指導者に面接調査を行い (研究課題 3),対話的競技体験を促進するメンタルトレーニングプログラムを考案することを予定しており,そこでメンタルトレーニング経験のある選手や指導者に対して面接調査を行い,対話的競技体験を促進する要因について明らかにし,それらを用いたメンタルトレーニングプログラムを施行する予定であった (研究課題 4).ところが,面接調査において,対象者と研究代表者の間で十分な時間を確保することができなかったため,期間を延長し,予定していた面接調査対象者を拡大していくこととした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究でのこれまでの取り組みでは,対話的競技体験尺度の精緻化を行い,対話的競技体験の概念的妥当性を確認することができた (研究課題 1).これにより,その後の研究で対話的競技体験尺度を用いる際の信頼性が高められた.次に対話的競技体験を促進すると考えられるグループ箱庭療法を集団競技チームに用いた介入を行い,対話的競技体験が促進されることにより,チームワークが活性化され,パフォーマンスも高められることを確認した (研究課題 2). 当初,平成27年度は,対話的競技体験を促進するメンタルトレーニングプログラムを考案し,実際に施行する予定であった (研究課題4).しかし,その前段階で行っていたメンタルトレーニング経験のある選手や指導者に対する面接調査 (研究課題3)において,面接対象者が試合やトレーニングなどで十分な時間が取れず,また研究代表者も育児中のため,十分な時間を確保することができず,両者の予定を調整することが難しくなってしまい,予定通りに研究を進めることができなかった.そのため,研究期間を延長し,再度,面接対象者との予定を調整するとともに,対象者を増やし,さらなるデータの補強を試みることとした.以上のような理由により,研究にやや遅れが生じてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,研究期間の延長を認めていただいたため,その分の時間を有効に使い,すでに連絡を取っている面接対象者と早急に日程調整を行い,面接対象者も増やし,さらなるデータの補強を行うこととする.面接対象者の拡大においては,これまで筑波大学で行ってきたメンタルトレーニング講習会に参加した参加者の当時のメンタルトレーニング日誌をもとに,メンタルトレーニング及び競技での技術的なトレーニングの取り組みにおいて,対話的競技体験を深めていると推察される対象者をリストアップし,連絡を取る予定である.すでに何人かの該当者には連絡を取り,面接の日程調整を行っている. 面接調査で得られた情報を分析し,メンタルトレーニング参加者が対話的競技体験を深めた共通の要因を明らかにする.さらに,それらの要因を含んだ対話的競技体験を促進するメンタルトレーニングプログラムを考案する.そして,10名程度の参加者を募り,考案されたメンタルトレーニングプログラムを施行する.その際,参加者にはトレーニング前後で面接調査を行うとともに,トレーニング期間中にはトレーニング日誌への記入を求め,彼らの体験過程を捉え,それらの情報を分析し,メンタルトレーニングにより対話的競技体験が促進されるのかを検証する.以上のような取り組みから得られたこれまでの研究結果をもとに研究総括を行い,研究結果として論文にまとめ投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
研究代表者と面接対象者との間で十分な時間が確保できず,予定していた面接調査期間を延長せざるを得なくなり,その後の介入調査を次年度に行うこととしたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
対話的競技体験を促進するメンタルトレーニング経験者への調査面接期間の延長に伴い,これまで明らかにしてきた対話的競技体験に関する知見を用いたメンタルトレーニングプログラムの施行に必要な調査旅費ならびに介入対象者への謝金として使用する予定である.
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