2014 Fiscal Year Research-status Report
学校管理下のスポーツにおける死亡・障害事例の分析:根拠に基づく実態解明と安全対策
Project/Area Number |
24700648
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内田 良 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50432282)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 学校安全 / リスク / 学校事故 / スポーツ事故 / 頭部外傷 / 脳振盪 / 頸部外傷 / ラグビー事故 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,次の2 点である。(1)学校管理下のスポーツ事故,とくにその死亡事例と障害事例について,過去29年間の事例を数量的に整理したうえで,競技種目別に事故実態を解明・比較し,安全対策の要点を導出する。(2)得られた知見を日本語と英語にて,迅速にウェブサイト上に公開し,一刻も早い安全対策の検討を国内外に向けて呼びかける。これらの目的を達成するために,今年度は具体的に「スポーツ時の死亡事例における競技別の分析」,「スポーツ時の頭頸部障害に関する全事例の集約・整理」,「得られた知見の発信」に重点的に取り組んだ。 「スポーツ時の死亡事例における競技別の分析」では,昨年度に集約した運動部における死亡事故全事例(約900件)について,競技別に分類をおこない,各競技の死亡事故の特徴を抽出した。「スポーツ時の頭頸部障害に関する全事例の集約・整理」では,障害事例に着目し,そのなかでももっとも重大な頭頸部の障害事例を集約した。事例数は運動部活動と保健体育時の事故を中心に,合計で約1000件にのぼった。 また,「情報発信のための資料作成」については,上記の作業で得られた知見を,現職教員の研修や,関連学会の年次大会,ウェブサイト「学校リスク研究所」(http://www.dadala.net/)において発表した。そのいくつかについては,英語版の資料を作成した(公開は2015年度予定)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で示したとおり,2014年度において「スポーツ時の死亡事例における競技別の分析」をほぼ完了させることができた。その成果は学会大会にて報告した。「スポーツ時の頭頸部障害に関する全事例の集約・整理」は,1000件に達する事例の抽出を終えることができた。 「得られた知見の発信」については,学会報告に限らず,ウェブサイトをはじめとして,さまざまな媒体(雑誌や新聞)において,研究の成果を発信することができた。 知見の英語化については作業がやや遅延しているものの,全体としてはおおむね順調に調査研究が進展したと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2015年度は,次の2つの課題に取り組む。一つが,諸々の研究成果をウェブサイト上で発表するということである。学校管理下のスポーツ事故事例が,想定を超えて多く集約されたため,これまではその事例の整理に多くの時間を費やした。その作業も2014年度までにほぼ終えることができたため,2015年度においては,知見を外部に発信することに力を注ぎたい。 また,頭頸部の障害事例については,まだ集約作業が終わったばかりであるため,2015年度中に分析をおこないさらに学会発表へとつなげていく予定である。
|
Causes of Carryover |
2014年度中に米国在住のスポーツ医学の研究者と研究打ち合わせをおこなう予定であったが,日程が調整できなかったため,2015年度に改めて調整することとなった。主として海外渡航に充てるための金額を,次年度に使用することとした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は,主として,米国の研究者と打ち合わせをおこなうための海外渡航費,ならびにウェブサイト更新のためのアルバイト謝金に充てる。
|
Research Products
(10 results)