2012 Fiscal Year Research-status Report
長野オリンピックが地域社会にもたらした「遺産」とその活用をめぐる社会学的研究
Project/Area Number |
24700664
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
高尾 将幸 東洋大学, ライフデザイン学部, 助教 (60584381)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メガ・スポーツイベント / 長野オリンピック / 遺産 |
Research Abstract |
本研究は長野オリンピックの競技開催地である長野県北安曇郡白馬村を主たる調査対象地として、オリンピック開催の「遺産」とその活用のあり方を解明することを目的としている。本研究で捉える「遺産」とその影響は、大会開催のための各種競技施設、道路や空港といった交通網をはじめとするインフラ整備など物的なものに加え、オリンピックを契機に誕生した人的なネットワークの生起、さらに海外からの観光客および移住者の増加など、オリンピックに関連した無形のものを含むものと定義している。 初年度にあたる平成24年度は、(1)オリンピック関連の競技施設およびインフラ整備がもたらした構造的な影響の解明、(2)メガ・スポーツイベントに関する理論的背景の文献研究、を予定していた。 (1)については、逐次、情報が開示されつつある「平成22年国勢調査」の調査結果などを参照し、オリンピック開催後の人口動態や産業構造の変化および推移を分析する作業を行った。インフラ整備の開発事業自体がもたらす社会・経済的な効果と、完成したインフラによる経済的な評価、生活圏の変化等の効果を伝える資料についても収集している。今後は分析を進めていきたい。 (2)については、特に英語圏の文献を収集するとともに、メガイベント研究の理論的背景や学説史の整理を進めてきている。とりわけ、イベントの長期的なインパクトを解明するにあたって、有形/無形の軸に加えて、イベントの内的な構造を厳密に腑分けしながら、データ収集をさらに効果的に進めるよう意識して研究を続けていくことにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メガ・スポーツイベントの理論的背景や分析枠組みについては、かなり整理ができている。また、データについては統計資料などの収集も進んでおり、次年度は現地調査を効果的に実施しながら確実に分析を進めていくことにする。
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Strategy for Future Research Activity |
理論的背景や分析枠組みに関する整理はかなり進んできたので、今後は現地でのフィールドワークや聞き取り調査を進めながら、詳細に分析を進めていくことにする。その際、スポーツ社会学や都市社会学の専門家らと議論する場を設けながら、進捗状況を報告するとともに、今後の研究の進め方についても助言をもらうようにしたい。特に、長野五輪研究会のメンバーには、長野市、軽井沢町、野沢温泉村といった地域でフィールドワークを継続している研究者もいるので、積極的に研究会を開きながら効果的に研究に取り組んでいくことにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に残額(53980円)が生じてしまったが、これは予定していた現地調査を実施しなかったためである。今年度の文献研究および収集した資料の分析結果をもとに、残額は次年度の現地調査の旅費として使用する予定である。
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