2012 Fiscal Year Research-status Report
初心者を対象とした背面跳びの新しい学習指導プログラムの確立
Project/Area Number |
24700668
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡辺 輝也 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (60586783)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 背面跳び / 学習指導プログラム / ステップ・バイ・ステップ |
Research Abstract |
本研究の目的は,Watanabe & Kobayashi (2010) が提案した背面跳びの新しい初心者指導法の各種学習指導場面における学習効果の詳細な検討を行い,学習の停滞や障碍事例への対処法をも備えた,初心者を対象とした背面跳びの新しい学習指導プログラムを確立することにあった.この目的を達成するために,平成24年度には,中学校の部活動場面において蓄積された指導実践事例を対象とした批判的検討を行った. Watanabe & Kobayashi (2010) が提案した背面跳びの新しい指導プログラムを利用して,これまでに,すでに複数名の学習者を対象とした学習指導を展開し,その学習成果の記録を行ってきた.平成24年度には,このうち,学習指導過程において学習障碍が発生し,なおかつその学習障碍の解消に向けた実践場面における試行錯誤が功を奏した1例を取り上げて,その学習指導過程に検討を加えた. この学習者は,踏切後に背面跳びではなく後方宙返りを行い肩や首から着地する動きを達成してしまい,その動きかたからなかなか抜け出せなくなるという学習障碍に陥った.この学習障碍の解消を目的とした試行錯誤において,筆者は,①学習ステップをはじめから辿り直させること,②逆の踏切脚で背面跳びの習得に改めて取り組ませること,そして③別の学習ステップを用いて背面跳びの体勢変化を学習させることを試みた.その結果,最終的にこの学習者は元の踏切脚で背面跳びの習得に成功した.以上の学習指導過程に検討を加えた結果,本事例において確認された学習障碍を未然に防ぐにはある学習ステップから次の学習ステップに進ませる際の見きわめを適切に行う必要があること,および上に挙げた対処法は状況に応じて利用価値が異なることが明らかにされた. 以上の研究内容について,平成24年度には国際会議における1度の研究発表を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において,平成24年度には,以下のことが予定されていた.すなわち,研究代表者が外部指導者として携わっている中学校の部活動においてさまざまな生徒の学習過程をデジタルビデオカメラを用いて詳細に記録すること,記録された学習過程において学習の停滞あるいは学習障碍が認められた事例について,その学習の停滞あるいは学習障碍の発生プロセスに検討を加えること,および得られた資料の検討と実践場面における試行錯誤を通して,学習の停滞あるいは学習障碍への対処法を確立することである. 以上の研究計画のうち,学習指導過程の記録の蓄積に関しては,研究協力者の異動に伴いそれまでの研究フィールドを一次的に失った関係で,十分な成果は得ることはできなかった.しかし,学習指導過程の記録の蓄積は平成25年度にも引き続き取り組む計画となっているほか,研究代表者の異動に伴いより充実した研究フィールドを新たに得ることができたことから,この点についての研究の遅れは問題視する必要はないと考えられる.また,記録された学習過程に学習障碍が認められた事例について,その学習障碍の発生プロセスに検討を加え,その学習障碍への対処法を確立するという研究課題に対しては,おおむね予定通りの研究成果が得られている. 以上のことから,研究計画全体としてはおおむね順調に進展していると考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度まではおおむね計画通りに研究を推進することができた. 平成25年度からは,研究代表者の異動に伴い研究環境に大幅な変化が生じた.しかし,異動先ではすでに複数名の研究協力者から研究協力の申し出を受けており,なおかつ研究代表者自身も研究実施に必要な背面跳びの学習指導場面を新たに得ることができた.こうしたことを考慮すれば,平成25年度の研究環境は,平成24年度よりも研究の遂行にとって望ましいものであると考えられる.したがって,今後も,計画通りに研究を推進することが可能であり,それゆえ引き続き研究計画に基づく研究の推進に取り組むことが必要であると考えられる.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度には,研究代表者の異動の可能性が高まったため,平成24年度内に購入を予定していた大型の備品(走高跳用マット)や用品等の購入を見送った.平成25年度には,得られた複数の指導場面のいずれにこれらの備品・用品を設置するのかということについて十分検討した上で,これらの備品・用品の購入を進める必要がある.それ以外の研究費の使用計画については,研究計画からの大幅な変更はない.
|
Research Products
(1 results)