2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700669
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中嶋 哲也 鹿児島大学, 教育学部, 講師 (30613921)
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Keywords | 高専柔道 / 寝技 / 勝負法 / 嘉納治五郎 / スポーツ化 |
Research Abstract |
本年度は、主に1910-20年代の学生柔道の動向と講道館との関係について検討した。まず、前年度に投稿していた論文「高専柔道大会の成立過程:競争意識の台頭と試合審判規定の形成過程に着目して」が『体育学研究』58巻1号(平成25年6月)に掲載されたことを受け、高専柔道大会成立以後の学生柔道の動向を解明することにした。 1918年に行われた第一高等学校と第二高等学校の対校戦で二高が寝技を多用したことが、競技化への画期点であったという先行研究の指摘を踏まえ、まずは実態が不明瞭な二高柔道部の歴史について二高校友会雑誌『尚志会雑誌』を一次史料として検討した論文を作成し、現在、早稲田大学スポーツ科学学術院が発行する『スポーツ科学研究』へ投稿・審査中である。 また、1918年以後高専柔道を中心に学生柔道界がどのように競技化を果たしたのかを明らかにするため、『帝国大学新聞』、『中央公論』、雑誌『柔道』などを主な史料として用いて、考察した。講道館は高専柔道の寝技を規制するため、1924年に審判規定を改正した。また講道館館長の嘉納治五郎は東京府内の高等教育機関を組織した東京学生柔道連合会(1923年3月設立)に顧問として関わり、同連合会が主催する大会の審判規定にも寝技を規制する条項を加えた。これに反発した高専柔道側は東京帝国大学を中心に京都帝国大学、九州帝国大学、東北帝国大学によって帝大柔道会を設立し、同会の審判規定を成文化した。またこの過程で東京帝国大学柔道部の佐々木吉備三郎は講道館に対して因襲に囚われていると批判し、高専柔道側はスポーツとして柔道を行っていくことを主張した。柔道のスポーツ化は今日的課題であるが、その言説の起源の一つは講道館から組織的にも技術的にも精神的にも自立しようとする高専柔道の営みにあったのである。現在、論文は日本体育学会が発行する『体育学研究』へ投稿・審査中である。
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Research Products
(2 results)