2012 Fiscal Year Research-status Report
腹筋群の機能・解剖学的特性評価方法の開発-体幹部のスタビリティを考慮して-
Project/Area Number |
24700673
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
野口 雄慶 福井工業大学, 工学部, 講師 (50610581)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超音波画像診断 / 腹部筋厚 / 筋力発揮 / 姿勢 |
Research Abstract |
本研究では、腹筋群の形態的特性と機能的特性(筋力、姿勢の安定度、運動時のパフォーマンス)および脊椎彎曲・骨盤傾斜との関係を明らかにし、体幹部強化トレーニングや腰痛予防のための運動処方作成時に有効な資料を提供することを目的としている。 初年度は、まず始めに研究全体を通して必要となる筋厚の測定方法について、測定姿勢、筋力発揮時有無、及び検者の測定技術が超音波画像診断法による腹部筋厚測定値の信頼性へおよぼす影響を検討した。青年男子11名(年齢:18.9±0.5歳、身長:170.1±7.0㎝、体重:64.5±7.6㎏)を対象に、熟練検者と非熟練検者が、立位および仰臥位にて、脱力時および筋力発揮時の2条件で腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋および腹横筋の筋厚を測定した。その結果、両検者とも、姿勢の違い、筋力発揮有無に関わらず全ての部位においてICCは非常に高かったが(ICC≧0.96)、多くの測定値は検者間の信頼性や一致度が低いため、測定技術の違いが信頼性に影響することが明らかになった。よって、以後の測定には、十分な練習を積んだ熟練被験者が行うこととした。次に、腹部の筋厚と筋力の関係を検討した。青年男子16名(年齢:18.7±0.6歳、身長:168.2±6.7㎝、体重:64.9±8.7㎏)を対象に、新たに開発した体幹部屈曲筋力測定器(竹井機器製)で測定した筋力と腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋および腹横筋の筋厚との関係を検討した結果、腹直筋および内腹斜筋において筋力との間に有意な相関関係が認められた。よって、筋厚と筋力には関係があることが明らかになった。 さらに、現在は姿勢評価システムの作成、並びに評価方法を検討しており、今後は姿勢変化と腹直筋の関係や、筋力の影響、あるいは、運動パフォーマンスとの関係についても検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた検討課題I、IIの内、Iについては当初の計画に従い筋力発揮値と腹部筋厚との関係を検討した成果を、国内学会発表、国際誌への投稿、あるいは大学内紀要への投稿を行い成果報告の方も順調に進んでいる。 検討課題IIについては、姿勢評価用システムの作成を実施し、現在、そのシステムを活用しながら研究を進めている段階である。一定以上のサンプル数が集まり、分析結果がまとまり次第、学会、論文投稿などで成果報告を実施していく予定である。 また、有識者や学外の研究協力者と連携をとりながら、25年度の検討課題に関わる予備実験にも着手しており、3年間で一定の成果をまとめることが出来る様、計画的に課題を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降の発展的研究では、腹筋群の解剖・機能学的特性と、姿勢制御や運動パフォーマンスとの関連性を検討していく。 検討課題III:姿勢の安定性維持(体幹固定性)と腹筋群の筋厚・筋力測定値との関係【内容】腹筋群評価変数と座位姿勢によるディジョックボードでの姿勢安定度(体幹固定性)の関連性を検討する。更に、運動負荷を与えた後でも同様のテストを実施し、疲労※との関連についても検証する。※疲労条件を課す理由:一定水準の腹筋の強さ(or厚さ)があれば安定状態を保持できる可能性が高い。疲労条件を加えることで、腹筋群の強さの影響 がより安定度に反映されることが期待される(H26年度実施予定の課題IVも同様の理由である)。【被験者】健常成人50名【実験システム】①超音波画像診断装置(現有設備)、②バランス訓練システム ディジョックボード(現有)【課題IIIで明らかにすること】1)体幹部の安定性と腹筋評価変数の優劣の対応関係を検証、2)疲労前後の比較を行い、疲労への耐性が強い群と弱い群の腹筋群の特性を検証。 ⇒25年度開始時および終了時に、課題の進行状況に応じて有識者と相談し、進行状況に大幅な遅れや重大な問題が発生しないように努める。また、24年度、25年度に得られた研究成果については、国内外で行われる学会等を中心に発表予定。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の主な研究費の使用計画としては以下に示す通りである。 1)24、25年度研究成果の報告:24-25年度の研究結果について、国内・国外での学会発表、論文投稿などを通じて成果報告を計画的に実行していくために、旅費や投稿費、英文校正費等を中心に使用する予定である。 2)実験に関わる消耗品、旅費ならびに謝金:本年度に予定している実験課題では、超音波画像診断に必要な消耗品の購入、ならびに実験に伴う検者の確保のための謝金の支払いに研究費を使用する予定である。また、適宜有識者と打合せを行いながら研究を進めていくため、旅費についても使用予定である。
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