2012 Fiscal Year Research-status Report
競技者の無力感が生起する過程と要因の解明-有効な心理的介入方法の構築に向けて-
Project/Area Number |
24700679
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
西田 円 天理大学, 体育学部, 講師 (70440641)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | セルフ・エフィカシー / 尺度作成 |
Research Abstract |
本研究は、競技者が成績の停滞、低下によって動機づけの維持が困難となり無力感状態に陥る現象に焦点をあて、改訂学習性無力感理論を基に、無力感状態が生起するプロセスとその要因を明らかにすることを目的としている。 1年目となる平成24年度は、第1に、競技者の動機づけ問題に関する先行研究のレビューおよび情報収集を行った。日本スポーツ心理学会第39回大会およびスポーツメンタルトレーニング指導士研修会への参加により、研究方法や動機づけに関する研究発表、事例検討について情報を収集した。第2に、競泳選手の練習場面に限定したセルフ・エフィカシー尺度の作成に向けて調査を実施した。手続きとして、大学水泳部に所属するの選手138名(男子77名、女子61名)を対象に「自己新記録樹立前の状態」に関する調査を実施した。回答は、自由記述形式で求めた。また、各大学水泳部の指導者8名に対して「自己新記録更新に必要とされる練習に取り組む姿勢」について聞き取り調査を実施した。選手による自由記述回答および指導者に対する聞き取り調査の内容から、自己新記録樹立に至る練習への取組み方を表すと思われる言葉を抜き出した。重複する項目を削除した結果、111項目が抽出された。 練習への取り組み方について、選手(主観的)と指導者(客観的)の両者から得られた回答は非常に貴重である。また、選手を対象とした調査では、自身の取組み方だけでなく、周囲にいる選手についても回答を求め、選手という立場からの客観的回答も含まれている。以上のことから、今回の調査で得られた項目は、様々な立場から評価した内容となっており、今後の尺度項目作成に貢献度の高いデータであると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
競泳選手の練習場面に限定したセルフ・エフィカシー尺度作成に向けて、その項目を抽出するための予備調査は完了した。しかし、本調査の実施協力依頼が遅れたため、重要なレース直前という限られた時期に調査を依頼することができなかった。そのため、尺度の完成には至らず、項目の抽出に留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に実施する予定であった本調査を平成25年6月に実施し、セルフ・エフィカシー尺度を完成させる。完成したセルフ・エフィカシー尺度と、改訂版SASSを用いて、日本学生選手権に向けて練習に取り組む大学水泳部を対象に、8月中に調査を実施する。調査方法として、申請者の直接配布および回収に加えて、郵送法による実施対象数を増やし、短期間での調査実施に踏み切る。 8月下旬から産前産後休暇に入るため、国外での成果発表が不可能となった。平成25年度までの研究成果は、平成26年開催の国内外での発表に変更する予定である。 質的データの収集については、平成25年12月から平成26年3月までの間に、無力感状態から回復した経験のある選手を対象にインタビュー調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査実施時期の遅れから、翌年度への繰越金が発生した。その繰り越し分は、調査対象者の拡大と、調査票の郵送費に一部充てる。また、学会、研修会への参加によって、自由記述などのテキストデータに対しての分析を可能にするテキストマイニングツールの有用性について情報を得た。そこで、テキストマイニングツールの購入にも充てる。
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