2014 Fiscal Year Research-status Report
競技者の無力感が生起する過程と要因の解明-有効な心理的介入方法の構築に向けて-
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24700679
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
西田 円 天理大学, 体育学部, 講師 (70440641)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | セルフ・エフィカシー / 尺度作成 / 競泳 / 練習場面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「練習場面において自己が適切な取り組みを遂行できるという確信」を“練習場面におけるセルフ・エフィカシー”と定義し,それを尺度化するための項目および因子を検討した。予備調査では、自分自身はどうであるか,他者はどうであるか,といった2つの視点と,選手だけでなく指導者の視点からの回答を基に項目を抽出したため,内容的妥当性を有していると判断される。各下位尺度の α 係数は.76,.78と適切な値が得られた。また,2つの下位尺度は互いに有意な正の相関を示した。これらの結果は,一定水準以上の内的整合性を保証するものである。 妥当性の検討においては,他の外的な基準との関連について今後とも検討する必要性が残されている。また,今回は競技会直前の期間について回答を求めたため,調査対象者の多くが明確な目標や課題をもっていたと考えられる。そのため,全体的にセルフ・エフィカシー得点が高くなった可能性がある。調査の実施時期についても検討が必要である。 これまで多くの先行研究は,課題や場面に特異的に影響を及ぼすセルフ・エフィカシー(SSE)と具体的な個々の課題や状況に依存せずに,より長期的に,より一般化した日常場面における行動に影響するセルフ・エフィカシー(GSE)に分類して検討が重ねられてきた。しかし,スポーツ場面における態度は,特性的な行動様式だけでなく学習された行動様式でもある。積極的に取り組めば,よい結果を得ることができるといったように,スポーツ場面における望ましい態度は,スポーツ経験によっても獲得される。従って,特定の場面に依存せずに,より長期的,より一般化した日常場面における行動に影響するGSEは,必ずしもスポーツ場面におけるセルフ・エフィカシーに反映するとは言えないのではないだろうか。一般性の次元については,今後,更なる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
尺度項目の再検討の必要性があり、そのための調査実施時期の調整が難しい状況にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
調査対象とする大学水泳部を限定し、調査およびインタビューの実施を確実にする。すでにいくつかの大学水泳部代表者から承諾を得ている。
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Causes of Carryover |
育児のため海外での成果発表が困難であり、そのための旅費が発生しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度、研究の推進方策として、調査期間短縮のため郵送法による調査実施を中心に行うとしたが、調査対象とする大学を限定し、再度、直接配布および回収等の旅費に充てる。
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Research Products
(1 results)