2014 Fiscal Year Annual Research Report
腓腹筋内側頭は遠位部をモジュレーターとして発揮パワーに応じた弾性特性変化をするか
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24700680
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Research Institution | Kurashiki University of Science and the Arts |
Principal Investigator |
枝松 千尋 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 准教授 (80351948)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腓腹筋内側頭 / コンパートメント / 発揮パワー / 弾性特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの爆発的なパワー発揮のメカニズムの解明は、スポーツ科学の分野において重要なテーマである。我々の先行研究の結果から、要求される発揮パワーの増大とともに腓腹筋内側頭(MG)の遠位部は筋活動を低下させることで最適な弾性特性へと調整しているのではないかという着想に至った。そこで本研究ではMG遠位部がMG弾性特性のモジュレーターとしての機能を有しているかを検討した。 実験方法としては表面筋電図を用いてMG近位部とMG遠位部の筋活動を計測した。実験1では、カーフレイズとホッピングの際のMG近位部とMG遠位部の筋活動を比較した。その結果、ホッピングの際のMG近位部の筋活動はカーフレイズの際の筋活動より大きくなった。逆に、大きなパワー発揮が要求されるホッピングにおいてMG遠位部の筋活動はカーフレイズの際の筋活動に対して小さくなった。この結果は、MG近位部は筋活動を高めることで二関節筋として膝関節の伸展パワーをMG遠位部に伝え、MG遠位部は筋活動を低下させることでコンプライアントな弾性組織として機能している可能性が考えられた。そこで実験2として、ホッピングの跳躍高によって発揮パワーを変化させた際のMG遠位部の筋活動を検討した。その結果、跳躍高の増大とともに遠位部の筋活動を低下させる被験者は存在するものの、個人差が大きく結論には至らなかった。その原因として、跳躍高によって発揮パワーを設定する方法では、跳躍周期が異なり、その結果としてデータがばらつく可能性が考えられた。そこで実験3では、傾斜角度可変型ジャンプ台を作成し跳躍周期を一定にして実験を行った。しかしながら、実験3においてもMG遠位部の筋活動には個人差が大きく結論には至らなかった。今後は、電極と神経筋接合部との位置関係、筋線維走行方向と電極の位置関係といった非生理学的要因の影響をできるだけ排除した評価を行う必要がある。
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