2012 Fiscal Year Research-status Report
3次元可視化モデルによる膝前十字靱帯損傷メカニズムの解明と予防
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24700683
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
加藤 茂幸 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (20368715)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 前十字靭帯 / MRI / 膝関節 / スポーツ / 外傷 / 受傷機転 |
Research Abstract |
本研究は、膝関節のMR画像から関節内の骨形状および靱帯を3次元的に構築し、それを動的にシミュレーションすることで前十字靭帯(ACL)損傷時の関節内の状況を可視化することを最終目的とする。初年度は、交付申請書に記した「研究目的」の1.に該当する大腿骨顆間窩とACLの形状、容積および体積の比較を実施した。健常膝15膝(女性9膝、男性6膝)と片側前十字靭帯再建女性6名の反対側健常膝関節を対象にMRI装置にて膝関節プロトン密度水平断像を撮影した。冠状面および矢状面にてACLに対し垂直になるように位置決めを行い、2mm間隔スライス面の画像データをDICOM形式で書き出した。解析には画像解析ソフト(OsiriX)を用い、等間隔ごとの水平断像から大腿骨顆間窩の空間面積(mm2)とACLの断面積(mm2)を測定した。これら等間隔に測定した面積から計算式を用いて体積を導き出した。大腿骨顆間窩の容積(mm3)およびその部位内に占めるACL体積(mm3)を算出し、これらの体積計算に加えて、ACL体積比率(顆間窩容積に占めるACL体積の割合)を求めた。その結果、再建女性および健常女性の大腿骨顆間窩の容積は男性に比べ有意に低値であった(p<0.05)。また、ACL体積は再建女性が男性に比べ有意に低値であった(p<0.05)。一方、ACL体積比率は全ての群間に差を認めなかった。また、顆間窩容積とACL体積の相関は有意であった(p<0.05)。これらから女性は顆間窩容積が小さく、前十字靭帯自体も小さい傾向にあることが示唆された。靱帯自体の体積が小さく細いことは、力学的な面から考えるとリスクとしてとらえることができる。今後、大腿骨顆間窩とACLはどのような動きで接触するのかを解析し、大腿骨顆間窩とACLが接触したときのストレスの程度を算出することで、ACL損傷時の関節内の状況を把握することにつなげる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、1.大腿骨顆間窩とACLの形状、容積および体積の比較。2.大腿骨顆間窩とACLはどのような動きで接触するのか。3.大腿骨顆間窩とACLが接触したときのストレス解析。4.高いストレスが生じている部位の検討(脛骨付着部、靱帯中心部、大腿骨付着部)。5.大腿骨と脛骨の接触の検討。6.骨挫傷(Bone-bruise)との関連性、以上の手順で進めていく予定である。初年度は、交付申請書に記した「研究目的」の1.に該当する大腿骨顆間窩とACLの形状、容積および体積の比較を実施した。今後、2.大腿骨顆間窩とACLはどのような動きで接触するのかを解析し、3.大腿骨顆間窩とACLが接触したときのストレスの程度を算出するために三次元膝モデルの構築を行う。それに必要な画像分析ソフト(ZedView)を用いることで基礎データを抽出し、有限要素法を用いたシミュレーションへとつなげてゆく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、大腿骨顆間窩とACLはどのような動きで接触するのかを解析し、大腿骨顆間窩とACLが接触したときのストレスの程度を計算する。そのためにまず画像分析ソフト(ZedView)を用い3次元膝モデルの基礎となるデータを取り出す。それをもとにモデルの構築を行い、シミュレーションへとつなげてゆく。これらを効率的に実施するために工学的専門家(岡山県工業技術センターおよびナカシマプロペラメディカル事業部)の助言を得ながら進めてゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MRI画像分析ソフト(Zed View、レキシー)は、骨および靱帯の形状抽出に用いる。また、それらのデータを記録保存するハードディスクおよび記録メディアが必要である。研究に参加する被験者に謝品としてスポーツドリンクを予算に計上している。これらは研究をスムーズに遂行するうえで必要である。また、工学的解析手法の打合せに岡山工業技術センターまでの往復交通費を計上している。特に高度な専門知識を要する立体膝モデルデータを組み上げる作業は、岡山工業技術センターに依頼するため、工学的専門計算解析費用を計上している。
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