2013 Fiscal Year Research-status Report
3次元可視化モデルによる膝前十字靱帯損傷メカニズムの解明と予防
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24700683
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
加藤 茂幸 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (20368715)
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Keywords | 前十字靭帯 / MRI / 膝関節 / スポーツ / 外傷 / 受傷機転 |
Research Abstract |
本研究は、膝関節のMR画像から関節内の骨形状および靱帯を3次元的に構築し、それを動的にシミュレーションすることで前十字靭帯(ACL)損傷時の関節内の状況を可視化することを最終目的とする。研究期間2年目は、交付申請書に記した「研究目的」の2.~4.に該当する部分を実施した。2.大腿骨顆間窩とACLはどのような動きで接触するのか、3.大腿骨顆間窩とACLが接触したときのストレスの大きさはどの程度か、4.高いストレスが生じている部位の同定、以上を検証するため、まず、片側ACL再建女性10名の反対側健常膝関節を対象にMRI装置にて膝関節プロトン密度水平断像を撮影した。次にそのMR画像データをもとに画像解析ソフト(ZedView, LEXI)にて大腿骨、ACL、脛骨の輪郭を抽出し、そのデータからコンピュータ上に3次元モデルを構築した。有限要素法を用いたシミュレーションはMarc Mentat (MSC.)を用いた。脛骨内旋および膝関節外反、脛骨前方移動を組み合わせたシミュレーションを実施した結果、どのモデルにおいても90MPa以上の応力が靭帯自体に生じた。このときの平均的な移動量は内旋6度-外反6度-前方移動6mmだった。また、外旋および外反、前方移動を組み合わせたシミュレーションでも靭帯自体に高い応力値(90MPa以上)が認められた(平均的な移動量:外旋7度-外反7度-前方移動7mm)。膝蓋腱の引張強度は58MPa(Noyes, 1984)であり、それを上回る強い力が靭帯に生じることが示唆された。しかしながら、これらの動きの中では大腿骨顆間窩とACLが接触することはなかった。接触しない状況下でも高い応力が靭帯自体に生じることで損傷につながる可能性も示唆された。今後、回旋量や外反角度の大きさおよび脛骨移動の方向を再検討し、大腿骨顆間窩とACLの接触について解明してゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、1.大腿骨顆間窩とACLの形状、容積および体積の比較。2.大腿骨顆間窩とACLはどのような動きで接触するのか。3.大腿骨顆間窩とACLが接触したときのストレス解析。4.高いストレスが生じている部位の検討(脛骨付着部、靱帯中心部、大腿骨付着部)。5.大腿骨と脛骨の接触の検討。6.骨挫傷(Bone-bruise)との関連性、以上の手順で進行している。 初年度は、交付申請書に記した「研究目的」の1.に該当する大腿骨顆間窩とACLの形状、容積および体積の比較を実施した。そして、次年度(研究期間2年目)は、「研究目的」の2.~4.に該当する部分に取り組んだ。最終年度(研究期間3年目)は、「研究目的」の5.および6.を実施し、本研究の成果を発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、3次元膝モデルを用いて大腿骨と脛骨の接触の検討、および骨挫傷(Bone-bruise)との関連性について検討を進めてゆく。また、MR画像から3次元膝モデルを構築しコンピュータシュミレーションを行う一連の流れについて、より効率的に実施するためにひきつづき工学的専門家(岡山県工業技術センター)の助言を得ながら進めてゆく。加えて、解析結果についても同専門家に助言を得る予定である。また、得られた研究成果の発表を実施してゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
岡山工業技術センターでの研究打ち合わせ回数が予定よりも少なくて済んだ事により交通費が小額であった。今後、膝モデル数を増加し、岡山工業技術センターでの研究打ち合わせ回数を重ねてゆく。 解析ソフトウェアMarc (MSC)、および画像解析ソフトウェアZedView (レキシー)のそれぞれのソフトウェアアップデートに対応するための保守費用が必要である。また、3次元膝モデルのシミュレーション結果を記録保存するハードディスクを計上している。また、工学的解析手法および結果解釈等の打合せに岡山工業技術センターまでの往復交通費を計上している。特に高度な専門知識を要する立体膝モデルデータを組み上げる作業は、岡山工業技術センターに依頼するため、工学的専門計算解析費用を計上している。また、これまでの研究成果を発表するため国内・国外旅費を計上している。
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