2012 Fiscal Year Research-status Report
上級競技者のペダリング動作分析に基づく競技自転車サドル高の決定手法の提案と評価
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24700688
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
徳安 達士 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (50435492)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ペダリング運動 / 表面筋電位 / 筋活動パターン / 主成分分析 |
Research Abstract |
本年度は2カ年計画の初年度に当たり,(1)実験装置の改良,(2)筋活動パターン評価プログラムの作成および(3)サドル高さの筋活動パターンへの影響調査を行った. (1)実験装置の改良:実際のサイクルロードレーサーに搭載可能なサドル位置決め装置を設計構築した.本装置では,サドルの高さ,前後位置,角度の自動制御が可能であり,被験者は実際の走行感覚を維持したままサドル位置を調整できるようになった. (2)筋活動パターン評価プログラムの作成:自転車運動に動員される下肢筋群として,大腿直筋,大腿二頭筋,前頸骨筋,腓腹筋内側の4つの筋群を選定し,これらについて自転車運動中の表面筋電位を測定する.測定データを二乗平均平方根処理し,筋活動量を推定し,さらに主成分分析を実施することで活動パターンとしての指標を得た. (3)熟練サイクリストを被験者として,被験者のサドル高さに対する主観的な評価と筋活動パターンとの関連性について調査した.被験者が主観的に良好とするサドル高さでは,主成分得点がゼロ付近に収束するという結果を得た.このことについて,良好なサドル高さでは,測定対象となった筋群間において,活動量の偏りがなく,すなわち局所的な疲労発生が抑止される動作を行っていると結論付けた. 次年度は,サドル高さに加え,前後位置および角度について,これらの筋活動パターンへの影響を調査し,結果をまとめる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①②について,当初,測定対象筋群を5カ所で計画していたが,関連研究の調査を進めるうちに大腿直筋,大腿二頭筋,前頸骨筋,腓腹筋内側で十分であろうことがわかった.これにより,ソフトウェアの構築が予定よりも早く進み,データ分析を効率化することにも繋がった.パターンエントロピー法による筋疲労特性評価について,パターンエントロピー法の基本プログラムが完成した.本研究では,各筋毎の疲労特性の評価に加え,筋活動の協調性についても議論していくことが新たな知見を求めていく上で必要であると考え,プログラムを改良し,複数筋群の時系列データを一挙に処理するべく検討している. ③上級競技者のサドル高さへの主観評価と筋活動パターンとの変化規則の関連性について,実験結果に基づいて評価した.現段階では,被験者を2名としているが,いずれも同様の傾向が確認されている. ④⑤については,平成25年度の課題として取り組む予定である. 研究代表者が平成24年4月より所属先が大分工業高等専門学校から福岡工業大学に変更となったが,福岡工業大学の研究機関としての機能が後押しとなり,研究計画通りに順調に進めることができている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,サドル前後位置および角度の筋活動パターンへの影響についてまず調査し,これら設定値とサドル高さとの関連性について予備調査を進める.これらの関連性がある程度把握できた段階で,上級競技者の各サドル高さにおける筋活動パターンの変化傾向を言語化し,サドル高さ自動調整装置の制御プログラムとして構築していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は予定よりもソフトウェアの効率化が進んだことや,旅費の一部を他研究費より支出したため70618円残ることとなった.この残費を流用し,実験装置のがたつきを抑えるための装置改良費に30万円程度の支出を計画する.その他,計画通り論文別刷り費および学会発表などの費用に充てる.
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