2013 Fiscal Year Research-status Report
電気力学的遅延による筋機能評価とコンディショニングへの応用
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24700696
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
佐々木 一茂 日本女子大学, 家政学部, 講師 (00451849)
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Keywords | 骨格筋 / 生理学 / 筋収縮 / 電気刺激 |
Research Abstract |
本研究の目的は、骨格筋の電気力学的遅延(Electromechanical delay, EMD)という現象を利用した筋機能評価法の確立に向けて基礎データを蓄積することである。平成25年度は若齢女性を対象としてEMDの筋間差について検討した。また、EMDと他の筋機能指標(随意的な最大筋力および筋力の発揮速度、電気刺激による収縮力および収縮時間など)との関連性についても検討した。詳細は以下の通りである。 1)18~35歳の女性65名を対象とした。右脚の膝伸展筋群および足底屈筋群の収縮を皮膚表面電極を用いた電気刺激により誘発した。筋腹に貼り付けた高感度加速度計により刺激から筋収縮が開始するまでの時間(Tec)を測定し、筋力計により刺激から関節トルクが発揮されるまでの時間(EMD)を測定した。また、これらの値の差から筋収縮力の伝達に要する時間(Tm)を算出した。加速度計は、膝伸展筋群の収縮においては外側広筋と大腿直筋に貼り付け、足底屈筋群の収縮においては腓腹筋内側頭とヒラメ筋に貼り付けた。 2)足底屈筋群と比較して、膝伸展筋群のTecは有意に短く、Tmは有意に長かった。両値の合計であるEMDは膝伸展筋群において有意に長かった。また、これらの値について足底屈筋群と膝伸展筋群における有意な相関関係は認められなかった。 3)EMDやその構成要素と他の筋機能指標との間に強い関連性は認められなかった。 4)以上の結果から、EMDやその構成要素には筋間差、個人差があることが示唆された。ただし、膝伸展筋群のEMDが足底屈筋群よりも長い理由としては、測定時の関節角度の影響なども考えられるため、今後は複数の関節角度においてEMDを評価する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データは概ね順調に取得することができた。ただし、前年度に生じた遅れ(主に研究代表者の所属変更に起因するもの)を完全に取り戻すことはできず、年度内の成果公表には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、同一被験者から縦断的に(経時的に)データを取得する予定である。具体的には、1)単一の高強度運動前後とその回復期においてEMDやその構成要素がどのように変化するのかについて検討すること、2)EMDやその構成要素の変化が運動パフォーマンスとどのように関連するかについて検討すること、を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先述したように年度内に研究成果を公表できなかったため、これに要する費用(学会出張旅費や論文掲載料)分が未使用となった。 上記未使用分については当初の計画通り、研究成果の公表に使用する。翌年度分の助成金は筋力計・筋電図計の補強・補修費用(約50万円)と実験参加者への謝金(約10万円)に使用する予定である。
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