2014 Fiscal Year Annual Research Report
筋収縮様式の違いによる筋肥大のメカニズムに対する分子生物学的アプローチ
Project/Area Number |
24700703
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
柿木 亮 順天堂大学, 医学部, 助教 (70614931)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 筋肥大 / 筋収縮様式 / レジスタンス運動 / タンパク質合成 / 細胞内シグナル伝達 / 筋線維タイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、伸張性収縮および短縮性収縮後のmTORシグナルが筋線維特異的に生じるかを検討した。前年度に実施した実験の筋サンプルを用いて、安静時および各収縮の1時間後の筋横断切片を作成した。切片に対して、ミオシン重鎖の各タイプ(I、IIa、IIx)に特異的に反応する抗体を用いて免疫染色を行い、筋線維タイプを同定した。また、別の連続横断切片に対してリン酸化型S6に特異的に反応する抗体を用いて免疫染色を行い、筋線維タイプと照らし合わせながら、リン酸化型S6の輝度を評価した。その結果、短縮性収縮は、安静時と比べて1時間後において、各線維タイプでリン酸化型S6の有意な増加をもたらさなかった。一方、伸張性収縮は、安静時と比べて1時間後において、タイプIおよびIIa線維においてリン酸化型S6の有意な増加をもたらした。したがって、伸張性収縮は、タイプIおよびIIa線維においてmTORシグナルを増加させることが示された。 本研究の最終目的は、骨格筋の適応メカニズム、特に筋タンパク質合成の調節機構である細胞内シグナル伝達に対する筋収縮様式の影響を筋繊維タイプごとに明らかにし、筋機能向上に対するより効果的なトレーニング方法の開発に貢献することであった。研究期間全体を通じて、本研究は、伸張性収縮を用いたトレーニングが短縮性収縮を用いたトレーニングよりも筋タンパク質合成を高める可能性を示し、特にタイプIおよびIIa線維をより筋肥大に向かわせる刺激となる可能性を示唆することができた。今後は、伸張性収縮がmTORシグナルを増加させるためのトリガーとなっている要因について検討を加えるとともに、実際のトレーニングによる筋肥大効果を明らかにしていきたいと考えている。
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