2013 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋疲労に関連するカルノシン合成遺伝子の発現機序の解明
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24700712
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Research Institution | International Pacific University |
Principal Investigator |
前村 公彦 環太平洋大学, 体育学部, 准教授 (40454863)
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Keywords | 筋疲労 / カルノシン / カルノシン合成遺伝子 |
Research Abstract |
本研究では、骨格筋疲労に関連するカルノシン合成遺伝子(ATPGD1)の発現機序について、ヒトを用いて解明することを目的とし、平成24年度は、骨格筋カルノシン濃度とATPGD1および筋線維組成との関係について検討した。被検者には一般健常男性13名を用い、これらの被検者の右脚外側広筋より筋バイオプシー法により筋サンプルを摘出し、骨格筋カルノシン濃度、ATPGD1および筋線維組成を測定した。その結果、骨格筋カルノシン濃度とType II線維との間に有意な正の相関関係が認められた。一方、ATPGD1と骨格筋カルノシン濃度およびType II線維との間には有意な相関関係は認められなかった。以上の結果から、骨格筋中のカルノシン量は、速筋線維に多く存在すること、また、それはカルノシン合成酵素の多少ではなく、トレーニングなどの環境的要因に起因する可能性が示唆された。平成25年度は、カルノシン摂取による体内でのカルノシン濃度およびカルノシン合成遺伝子の発現について経時的に検討した。16名の被検者8名ずつに0.05g/kgのL-カルノシンまたは水のどちらかを摂取させ、血中遊離アミノ酸濃度、骨格筋カルノシン濃度およびATPGD1の遺伝子発現量を測定した。その結果、カルノシン摂取により血中カルノシンは検出されず、β-アラニンは摂取20-60分後、L-ヒスチジンは30-180分後に摂取前と比較して有意に増加した。また、骨格筋カルノシン濃度はカルノシン摂取30分後および120分後に水摂取群と比較して有意に増加し、ATPGD1は30分後に摂取前と比較して有意に増加した。以上の結果から、カルノシンは経口摂取により、血中ですぐにβ-アラニンとL-ヒスチジンに分解されるが、骨格筋中のカルノシン濃度が増加した。その増加にはATPGD1が関与する可能性が示唆された。
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