2013 Fiscal Year Annual Research Report
成長期の運動はエピジェネティックな遺伝子制御で成熟期のうつ様行動を予防するか否か
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24700714
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Research Institution | Kyoritsu Women's Junior College |
Principal Investigator |
中島 早苗 共立女子短期大学, 文科, 講師 (60535459)
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Keywords | 運動 / 成長期 / 心理的ストレス |
Research Abstract |
【目的】成長期に定期的な運動を行ったマウスと全く運動を行わなかったマウスの成熟期に心理的ストレスを負荷して、成長期の運動がもたらす抗うつ効果の有無について調べた。さらに定期的な運動とストレス負荷後の海馬を採取し海馬のエピジェネティックな変化をもたらすか否かについて検討した。 【方法】離乳後の5週齢の雄C57/BL/6マウスを無作為に安静群、ストレス群、運動+ストレス群の3群に分けて、運動+ストレス群のみにトレッドミル速度15m/分で60分間のトレッドミル走を週3回のペースで4週間行わせた。運動後およそ3ヶ月間は通常飼育をして、成長期~成熟期にあたる時期(24~26週齢)に14日間のsocial defeat stressを負荷し、ストレス負荷終了後、うつ様行動を判定するためショ糖選択性試験や不安様行動を調べるためのオープンフィールド試験等を行った。全ての試験を終了した翌日に、解剖して脳の海馬を採取した。なお、海馬における神経新生の差異を調べるためにストレス負荷開始前に5-bromo-2'-deoxyuridine(BrdU)を腹腔内投与して、解剖後、脳の切片を作成して抗BrdU抗体を用いた免疫組織染色を用いて分析した。また、採取した脳サンプルから核を抽出して、さらにDNAを抽出しアセチル化ヒストンに結合したBDNFプロモーターを定量した。 【結果】うつ様行動を判定するための強制水泳試験では安静群に対して、運動+ストレス群はやや低値を示し、ストレス群は有意に低値を示した。成長期の運動がうつ様行動を予防する可能性が示唆された。しかし海馬におけるBrdU陽性細胞の数は各群において有意な差がみられず、神経新生には影響を及ぼさなかった。またアセチル化ヒストンに結合したBDNFプロモーターの定量については、方法論の確立に時間を有し、比較検討するまでの十分な結果を得る段階までに至らなかった。
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