2012 Fiscal Year Research-status Report
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24700718
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
赤塚 康介 久留米工業高等専門学校, 一般科目文科系, 助教 (50514006)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 前頭葉 / 抑制機能 / 運動 |
Research Abstract |
前頭葉のもっている判断や、認知、情動といった機能が運動により影響を受けることが知られるようになってきているが、もう一つの重要な機能である抑制機能が運動によりどのような影響を受けるのかは詳細には分かっていない。そこで、今年度は平成25年度以降に実験で主に用いる予定である体性感覚刺激に対する前頭葉の機能への運動の影響について、二点識別域測定法を用いて行動実験を行った。被験者には、二つの実験(安静条件・運動条件)を行ってもらった。安静条件では、まず安静時に二点識別域を測定し、そのまま15分間座位のまま安静状態を保ってもらい、その後再び二点識別域の測定を行った。運動条件では、安静条件同様にまず二点識別域の測定を行った。その後、15分間のジョギングを行ってもらい、その後再び二点識別域の測定を行った。このときの運動強度は、50%強度をとした。行動実験の結果、15分間のジョギングを行った運動条件では運動の前後で二点識別閾値が有意に低下していた。一方、運動を行わずにいた安静条件では安静の前後で二点識別閾値に有意な変化は見られなかった。このことは、運動が体性感覚系の高次機能である体性感覚識別に対して効果的な影響を与えることを示唆するものである。 また、今年度は平成25年度以降の実験において実験器具等の協力を依頼している新潟医療福祉大学の丸山敦夫教授を訪問し、実験器具等の確認や実験についての詳細な打ち合わせを行い、今後の研究を円滑に遂行するための準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、平成26年度に行う実験のための予備的な実験を行うことができた。また、実験の協力を依頼している新潟医療福祉大学での実験の打ち合わせも順調に進み、本実験を実施するのみとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
脳機能イメージング技法を用いた、ヒト前頭葉の抑制機能を観察する方法として、Go/No-go taskと呼ばれる課題がある。Go/No-go taskは、2種類の刺激を被験者に無作為に与え、1つの刺激をGo刺激とし、その刺激が呈示された際には被験者が反応動作を実行し、もう一方のNogo刺激が呈示された際には反応動作を実行しないという課題である。Go刺激が呈示された試行では、運動遂行過程を検討することができ、反対にNogo刺激が呈示された試行では、運動抑制過程を検討することができる。このことから、運動前後のNogo試行時の脳反応に着目することにより、運動が脳の抑制機能に及ぼす影響について明らかにすることができると考えられる。 運動の前後でのNogo試行時の脳反応を、脳機能イメージング技法である脳波計と近赤外スペクトロスコピー(Near-infrared spectroscopy; NIRS)を用いて計測することにより、運動が脳の抑制機能に及ぼす影響を時空間的に観察していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、実験協力を依頼している新潟医療福祉大学において実験を行う予定である。そのため、現地までの旅費、被験者への謝金が必要である。また、本研究において重要な近赤外スペクトロスコピー(Near-infrared spectroscopy; NIRS)を購入する予定である。
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