2012 Fiscal Year Research-status Report
唾液バイオマーカーによる香り刺激が睡眠時に心身へもたらす影響評価
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24700725
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
大平 雅子 滋賀大学, 教育学部, 講師 (40616190)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 唾液 / 睡眠 / 香り / 睡眠感 / コルチゾール |
Research Abstract |
本研究の目的は、「香りが睡眠中のホルモン分泌および主観的な睡眠感に与える影響を評価する」ことにある。学術的には、従来の睡眠評価研究で用いられてきた脳波・心電図・血圧に加えて人間の免疫・内分泌系の指標を新たな評価軸として導入し、新たな睡眠評価法の確立を目指すことにある。従って、本研究では従来指標(脳波・心拍数・血圧等)と同時に生理機能の異なる7種の生化学物質を用いて、香りが睡眠中の心身へ及ぼす影響について統合的に評価することを計画した。 当該年度は睡眠時における覚醒系の香りが睡眠中の心身へ及ぼす影響の検討を行った。従来、睡眠中の生化学物質の定量評価は血液検体により行われてきたが、これは血液の断続的な採取に伴う心身の負担が非常に大きいと予想される。そこで、本研究では独自に開発した睡眠中の微量な唾液を連続的に採取する手法(睡眠時唾液採取装置)を用いて、睡眠時の生化学物質の分泌変化を評価した。 その結果、覚醒系の香り刺激により、睡眠中・起床後ともに唾液中コルチゾールの分泌が抑制されていることが観察された。特に、起床後のコルチゾール分泌の抑制は顕著である。一般に起床後30~60分におけるコルチゾール濃度の急激な上昇は起床時コルチゾール反応(CAR)と呼ばれ、日常的なストレスに応じて増大すると考えられている。よって、仮にこのCARの抑制が高いストレス状態にある者においても観察できるのであれば、これは覚醒的な香りによる生理的にポジティブな効果であると解釈できる。 ただし、本研究は唾液分析に係わるコストの制約から小規模なものである。次年度以降、被験者の数を増やし様々な香り条件で検証を進める点について、次年度に課題を残した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・被験者を対象とした睡眠実験の実施は既に実施済みである ・睡眠実験時に採取した唾液の生化学物質解析は既に実施済みである ・上記の実験データのとりまとめは既に実施済みであり、そのデータに関する論文が国内雑誌に採録決定している ・ただし、上記睡眠実験の際の脳波解析が現在進行中であり、次年度以降の課題である
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Strategy for Future Research Activity |
・現在進行中である脳波解析を終了させ、香りの効果と睡眠段階、ホルモン分泌変化と睡眠段階の関連を検討予定である。 ・被験者の数を増やし様々な香り条件で、香りが睡眠中の心身へ及ぼす影響を検証していく。次年度6-7月予備実験、11-12月本実験、12-1月採取した唾液の生化学物質分析を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度連携研究者である長岡技術科学大学野村収作准教授からレンタルが可能であったため、設備備品の購入を行わなかった。しかしながら、次年度はレンタルが難しい状況にあり、ホルモン解析関連機器の購入を予定している。 例)マイクロプレートミキサー、分析用電子天秤、ピペット等
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Research Products
(4 results)