2012 Fiscal Year Research-status Report
ICTを活用した身体活動増強のための行動変容プログラムの開発
Project/Area Number |
24700728
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
上地 広昭 山口大学, 教育学部, 准教授 (60367084)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 身体活動 / スマートフォン / ICT / 健康教育 / 行動変容 |
Research Abstract |
本年度に,スマートフォンを活用した身体活動増進プログラムである「Active Lifestyle Campaign」プログラムの開発を行った.従来のICTを活用したプログラムは,1)参加者のプログラムへのアドヒアランス(継続状況)が低い、2)参加者同士の交流の機会が少ない、3)効果的なメッセージが発信されていない、などの問題点を抱えていたため,本プログラムでは,これらの問題点について以下のように改善した。 1)プログラムへのアドヒアランスが低い:プログラムのアドヒアランスには,プログラムへのアクセスの容易さが大きく関わってくる。従来のICT活用プログラムの多くがパソコン(以下,PC)からのアクセスを想定し開発されているが、PCを利用する場合、身体活動の記録やサイトの閲覧を行う際の時間や場所に制限が生じるため,プログラム参加へのアドヒアランが必然的に低くなる。そこで,本プログラムでは,携帯端末からのアクセスを可能にし、場所や時間を問わず比較的自由に身体活動の記録やサイトの閲覧を行えるようにした。 2)参加者同士の交流が少ない:従来のICT活用プログラムの多くが,参加者がweb上で自分の身体活動量をセルフモニタリングし,プログラム提供者からのアドバイスを受ける形式のものであり,プログラム参加者同士の交流に配慮したプログラムはほとんど見られない。そのため、本プログラムでは,ソーシャル・ネットワーキング・システム機能を装備した。 3)効果的なメッセージが発信できていない:従来のICT活用プログラムにおいては、必ずしも参加者の特性にマッチした効果的なテイラードメッセージが配信されていない。本プログラムでは,事前調査への回答に合わせて,あらかじめ準備した複数のメッセージをコンピュータが自動的に組み合わせるコンピューターテイラードメッセージを作成するようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度および平成25年度は,スマートフォンを活用した身体活動増強のためのプログラムである「Active Lifestyle Campaign」プログラムの開発に充てていたが,計画以上に進展しており,本プログラムはほぼ完成している.当初の予定では,スマートフォンのうち,アンドロイドOS版のみをプログラム開発する予定であったが,予想以上の進展があったためiOS版についても開発を行った.平成24年10月からは,モニターとして大学生3名に協力を求め,「Active Lifestyle Campaign」プログラムを5ヶ月間試行させ,種々の問題点を洗い出し改善した.具体的な問題点として,サーバーへの歩数データ送信不具合(自動的にデータをサーバーに送れない),歩数測定感度不具合(歩数を正確に測定しない),機種による歩数測定機能不具合(一部のスマートフォン機種では歩数測定アプリケーションが作動しない)などがあげられたが,順次対応した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に,スマートフォンを活用した身体活動増進プログラムである「Active Lifestyle Campaign」プログラムの開発がほぼ完了した.そのため,平成25年度は,4月-7月にかけて,大学生を対象に,従来のプリント・メディアを用いたプログラムと,今回のスマートフォンを活用した「Active Lifestyle Campaign」プログラムの身体活動増進効果について比較検証を行う.これにより,身体活動増強に際して,スマートフォンを活用することの有用性が示されるものと考える.この成果については,平成25年8月の日本体育学会第64回大会にて発表予定である. さらに,上記の研究における問題点・改善点を検証し,平成25年10-12月にかけて,山口県健康づくりセンターと共同で,中高年者を対象に,PCを活用したプログラムと,スマートフォンを活用した「Active Lifestyle Campaign」プログラムの比較検証を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,大学生および中高年者を対象に,「Active Lifestyle Campaign」プログラムの身体活動増進効果について検証を行う予定である.それに際し,大学生はスマートフォンの所持率が高いため問題ないが,中高年者については現在までのところスマートフォンの高い所持率は見込めない.そこで,中高年者を対象とした介入研究では,こちら側でSMIフリー携帯電話を準備し,それを貸し出す予定である.SMIフリー携帯電話は,月ごとの通信料の精算が行えるため,スマートフォンを一定期間内だけ使用することが可能である.一台あたり2万円程度であり,20台準備する予定である. また,現在完成している「Active Lifestyle Campaign」プログラムは年齢を限定しない汎用的な機能・デザインとなっているが,中高年者を対象とした介入では,文字のサイズやインターフェイスなど中高年者用に多少の改良を加える.そのほかにも,現在,本プログラムは山口大学のサーバーに置かれているため,中高年者を対象とした介入研究では,データ管理の観点からサーバーを県の施設へ移転しなければならず,そのための費用も必要となる.
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Research Products
(3 results)