2013 Fiscal Year Research-status Report
地域高齢者のエンパワーメントを重視した介護予防活動の効果に関する研究
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24700732
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
河村 晃依 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (60458750)
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Keywords | 介護予防 / 地域高齢者 / エンパワーメント / 一次予防 / 自主グループ / 地域づくり / 共助 / 地域包括ケア |
Research Abstract |
超高齢社会を迎え、更なる超高齢社会の進展が見込まれる我が国にとって、介護予防は重要課題である。介護予防を促進し継続していくためには、高齢者の自発的な取り組みを支援(自立支援)し、地域の支え合いシステム(共助)を構築していくことが求められる。しかし、これまでの介護予防の全国的動向は、専門家主導の一時的なサービス提供にとどまっており、高齢者はサービスの受動的な参加者となっている現状がある。事業終了後においても、介護予防活動が自発的かつ継続的になされることが期待されるものの、現在の事業展開は高齢者同士の共助を促進する視点が不足している。本研究では、地域で暮らす一般高齢者に対し、エンパワーメントを促す住民参加型の介護予防活動を実施し、参加した高齢者の生活機能への効果および、共助としての自主グループ活性化に与える効果を明らかにするものである。初年度に対象2地域の選定および介入研究を開始し、今年度は研究計画に従い、本研究目的の達成のために以下3点を実施した。1点目として、対象2地域(介入地域・非介入地域)おける介入研究(介護予防プログラム)を昨年より継続実施した。1回につき90分間とし、月に2回の頻度で6か月間に亘り継続して実施した。また、介入地域に対しては、エンパワーメントを促す取り組みとして、①「知る」専門家による講義形式,②「気付く」グループ討議形式、③「共有・共感する」発表形式、④「行動する」実習形式、⑤「振り返る」親睦会形式、の5過程にて実施した。一方、非介入地域に対しては、従来型の専門家による講義形式のみで実施した。2点目として、介護予防プログラム終了時に、ベースライン時と同様のアンケート調査を事後調査として実施した。3点目として、介護予防プログラム終了後の両地域に対し、フォローアップ・プログラムとして自主グループ化の後方支援活動を、月1回の頻度で実施し、現在展開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、地域で暮らす一般高齢者である参加者に対し、エンパワーメントを促す住民参加型の介護予防活動を実施し、参加した高齢者の生活機能および、共助としてのグループ活性化に与える効果を明らかにすることである。今年度は昨年度より引き続き介入研究(介護予防プログラム)を実施した。介入地域においてはエンパワーメントプログラム、非介入地域においては従来型の専門家主導の介護予防プログラムを展開した。その後、フォローアップ・プログラムとして、月1回の頻度にて、自主グループ化の後方支援を実施し、展開中である。また、介入終了時(事後調査)を予定通り実施した。 会場都合等のために介入研究の開始時期が遅れたことが影響し、当初計画より時期の遅れはあるものの、研究は目的に沿って順調に遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、現在展開中のフォローアップ・プログラム終了後、追跡調査を2回(介入後6カ月および介入後1年)実施する予定である。さらに、フォローアップ終了後に各地域において自主グループが発足する場合には、必要に応じた支援を行っていく。 また、計4回の調査終了後に、得られた回答を統計的手法により解析する。介入地域・非介入地域ごとのアウトカム評価について、対応のある検定を行う。また介入効果検証のために、介入地域・非介入地域ごとのベースライン調査時・事後調査時・追跡調査時(6か月後)・追跡調査時(1年後)のアウトカム評価の差分を求め、対応のない検定を実施する。今回エンパワーメントプログラムを行った介入地域の、非介入地域との比較における効果検証を実施する。 研究機関全体を通して得られた結果をとりまとめ、エンパワーメントを重視した介護予防活動の効果について考察する。さらに、研究成果を発表する場として、学会発表及び論文執筆・投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定では、H25年度に介入研究及びフォローアップ期間を終え、2回に亘る追跡調査の実施および学会発表・論文執筆等を行う予定であった。しかし、研究内容自体は順調に進んでいるものの、会場都合等により介入研究開始時期が当初の計画より遅れたことが影響し、追跡調査の実施時期がH26年度4月及び10月となる予定である。そのため、H26年度に結果解析および発表、論文執筆等を実施するため、次年度使用額が生じた。 未使用額については、H26年度に実施予定の2回の追跡調査および結果解析、学会発表、論文執筆等への経費に充てる予定である。
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