2015 Fiscal Year Annual Research Report
生体メカニズムに基づく生体適応反応と心理指標によるストレス統合評価に関する研究
Project/Area Number |
24700738
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
林 拓世 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (40582862)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ストレス / 脳・神経 / 情動 / 生体適応反応 / 脳磁図 / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレスに起因した生体の状態異常は,症状の重篤性や多様性から大きな社会問題となっている.本研究では,生体メカニズムに基づく生体適応反応と心理指標から統合的ストレス定量評価を行うことを目的とした.具体的には,情動負荷と注意集中負荷に伴う脳情報処理器官の経時的ストレス影響性を捉えることで,神経系・内分泌系・免疫系の生体適応反応に基づく急性及び慢性ストレス状態の統合評価を行った. 結果,左側中心-側頭領域において,安静刺激と比較して快刺激では刺激後の400-500ms,不快刺激では刺激後の100-500msでθ波帯域の位相非同期事象関連同期活動が有意に高値を示した.慢性ストレス状態として,気分プロフィール検査(POMS)の評価により被験者を低疲労群と高疲労群に分類した結果,緊張-不安,抑うつ,混乱などの主観的評価は高疲労群で有意に高値を示した.一方,身体的及び精神的自覚症,コルチゾール値,免疫機能(IgA),自律神経機能は群間で有意な差は認められなかった.情動負荷では,低疲労群の左側中心-側頭領域において,安静刺激と比較して快刺激は刺激後の100msでθ波帯域の位相非同期事象関連同期活動が有意に高値を示した.注意集中負荷では,低疲労群の右側頭頂後頭領域において,刺激前と刺激後の200ms及び400msの比較で,タスクの難易度によりα波帯域の位相同期事象関連同期活動に有意な差が認められた. 以上より,健常時におけるストレスの蓄積は,情動や認知に伴う脳の処理能力低下が示唆されることから,ストレス状態の客観的な判断基準とすることや,治療や予防に向けての指標とすることができると考えられる.
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Research Products
(3 results)