2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700745
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉野 公三 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (10358343)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抑うつ / うつ病 / 生活行動 / 身体活動 / 心拍 / 自律神経 / 人感センサ / 身体加速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,さらに2家族を対象とした被験者実験を行い,生活中の行動・生理・心理データをさらに蓄積した.実験内容は平成25年度と同じく,各々の家族が3ヶ月間,産総研関西センターの実験住宅に居住し,その間の被験者の身体加速度(活動度),心拍変動,心理状態(うつ病自己評価尺度SDSなど),および住宅内センサ信号を計測した.精神科医による評価の結果,今年度もうつ病を発症した者はいなかった.本研究課題中に計測した計5名の健常成人(ただし,健常群の中ではSDSにより評価される抑うつ傾向が比較的高い)の身体活動時系列データから,休息時間の継続時間の累積確率密度分布から算出される「べき乗指数γ」(中村亨先生らが鬱病との関連性があることを報告した指標)を算出した.ここで,γの計算には統計学的には1週間程度のデータを必要とするが,心理状態の関連性を調べるために,データ長を1日間とした.このため,γの解析対象とした休息時間の継続時間範囲を短くした.γとSDSのスコアとの間に,統計的有意な相関が認められた被験者は5名中2名(被験者A,B)であった.残り3名のうち1名(被験者C)は,疲労感が3ヶ月間の中で最も高かった日にγが3ヶ月間の中で2番目に低い値を示した.さらに,これと別の1名(被験者D)は,ホームズの社会最適応評価尺度の中で(悪い意味で)点数の高いライフイベントの一つに関する日に,γが3ヶ月間の中で最も高い値を示した.残る被験者Eについては,SDSのスコアと睡眠開始3時間の平均心拍数との間に,SDSの回答基準が不安定な最初の5日間を除いた残りの85日間において統計的有意な相関が観測された.以上から,健常成人(ただし,健常者の中では抑うつ傾向が比較的高い群)の日常生活中の身体加速度情報もしくは睡眠時心拍情報には,抑うつ状態を反映した成分が含まれる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生活行動をモニタリングされることにご協力いただける研究対象者を見つけることが予想以上に困難であったため,現時点でようやくpilot studyとして扱える人数の生活中の行動・生理・心理計測データを蓄積することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,観測された抑うつ状態を反映する可能性のある身体加速度情報と睡眠時心拍情報の他に,住宅内センサ情報も組み合わせることで,検出力の高い指標を探索する.さらに,これまでの成果を学会等で発表する.
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Causes of Carryover |
データの蓄積に時間を要したため,旅費等の成果発表に関する費用とデータ解析に関する費用が未使用となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本プロジェクトの成果を学会にて発表するために,旅費と学会参加費に使用する.英語論文としてまとめるために,英文校正費に使用する.さらに,より検出力の高い指標を探索するために,データ解析用のソフトウェアを購入し,解析補助員用の謝金に使用する.
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Research Products
(1 results)