2013 Fiscal Year Research-status Report
易転倒性高齢者の簡便な転倒回避能力のスクリーニング法及び改善プログラムの開発
Project/Area Number |
24700752
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山次 俊介 福井大学, 医学部, 准教授 (40311021)
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Keywords | ロコモティブシンドローム / 転倒 / 老化 / 加齢 |
Research Abstract |
高齢者の転倒予防において、転倒を誘発する外乱が加わった時に股関節方略や代償的ステップなどによって自身の重心位置を制御する転倒回避能力が重要である。筆者は、高齢者の股関節方略や代償的ステップ能力を高めるエクササイズを提案してきた。 しかし、これらのエクササイズは高齢者にとっては比較的難度が高いことから、易転倒高齢者に対するスクリーニング検査およびその改善プログラムの提案が重要と考えた。 本年度は、昨年度に作成した計測装置による高齢者の転倒回避能力のうち、股関節前後移動距離(Hip-D)を測定し、転倒リスク、生活空間、ADL能力、およびその他の身体機能との関係を検証した。 対象者(女性高齢者319名)は、計測装置の上に立ち、静止立位姿勢時(0ポジション)から足の裏を床面につけたまま最大限股関節を前方および後方へ移動した。対象者の股関節移動は、右側面からデジタルカメラで撮影され、移動距離を1mm単位で計測した。Hip-Dの試行間信頼性(ICC)は0.878と高かった。Hip-Dは10m歩行時間、開眼片脚立ち、Functional Reachとは有意な低い相関(|r|=0.31=0.45,P<0.05)であり、等尺性膝伸展力とは有意な相関は認められなかった。また、Life Space Assessmentni(LSA)によるカットオフ値を基準として、活動良好群と狭小群を設定し、Hip-Dの予測力をROC分析により検証した。Youden’s Indexによる生活空間を判別する最適なカットオフ値は、20.9cm であり、AUCは0.824であった。 以上より、Hip-Dは転倒回避能力の簡便なスクリーニング検査として有効であることが示唆された。 最終年度に向けて、これらのデータ解析を進めるとともに、課題3のエクササイズ介入によって改善するプログラムの作成に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画どおり研究を遂行し、それらに関する成果発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
3カ年計画のうち、2年が経過したが、概ね計画どおり順調に進んでいる。転倒回避能力を捉える簡便なスクリーニング検査として、股関節前後移動距離(Hip-D)の有効性が確認されたが、さらにデータ収集と分析により併存妥当性、予測妥当性、交叉妥当性について検証を進める。さらに、課題3である介入による改善効果の検証に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度、計測機器の作製とその見直しのために予算計上をしていたが、課題2の研究目的はプロトタイプの計測器で測定可能であったたために、その修正や追加作製は行わなかった。そのため、次年度使用額が生じた。 今年度、介入研究を始める前に、測定器具を含めた測定環境の見直しを行う。また、作製した計測機器を刷新するための費用として計画している。
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