2014 Fiscal Year Annual Research Report
易転倒性高齢者の簡便な転倒回避能力のスクリーニング法及び改善プログラムの開発
Project/Area Number |
24700752
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山次 俊介 福井大学, 医学部, 准教授 (40311021)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ロコモティブシンドローム / 転倒 / 老化 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の転倒予防において、転倒を誘発する外乱が加わった時に股関節方略や代償的ステップなどによって、自身の重心位置の制御する転倒回避能力が重要である。筆者は、高齢者の股関節方略や代償的ステップ能力を高めるエクササイズを提案してきた。しかし、これらのエクササイズは高齢者にとっては比較的難易度が高いことから、易転倒性高齢者に対するスクリーニング検査およびその改善プログラムの提案が重要と考えた。 本年度は、1)昨年度までの成果として報告した、股関節前後移動距離(Hip-D)によるスクリーニング判定による1年後の転倒発生、転倒リスク及び各種転倒関連体力の変化の追跡、2)易転倒性高齢者に対する介入を実施した。 1)Hip-Dカットオフ値(20.9cm)以下であった者の26.2%が、その後一年間で転倒発生が確認された。一方で、カットオフ値以上であった者の転倒発生率が13.6%であり、両群間に有意差が認められた。以上より、Hip-Dは易転倒性高齢者を予測する有効な変数であることが確認された。また、1年後にHip-Dを再測定したところ、再測定後もカットオフ値以下であった者の転倒リスク、転倒発生回数とも悪く、転倒関連体力の低下も著しい傾向が窺えた。 2)易転倒性高齢者に対して、Hip-Dの改善を主たる目的として、股関節体操(前後、左右、回旋)及びラバーバンドを用いた下肢・体幹の軽運動を週1回、6か月間実施した(エクササイズ群)。対照群として、介護予防に関する施設通所型知識享受プログラムに週1回、6か月間参加した群を設定した。両群の転倒発生及び転倒リスクに有意差は認められなかった。しかし、エクササイズ群は、Hip-Dに加え、10m歩行、開眼片脚立ち、股関節筋力、及び敏捷性ステップにおいて有意な改善が認められた。
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