2013 Fiscal Year Annual Research Report
精神的ストレス応答システムHPA経路に基づくがん発症・進展メカニズムの解明
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24700756
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
渡邉 映理 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20433253)
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Keywords | HPA経路 / 精神的ストレス / がん発症・進展 / 糖質コルチコイド / GCR / 腫瘍細胞 / フィードバック機能 |
Research Abstract |
がんの発症と進展には、精神的ストレスが関連することが知られている。最近になって、精神的ストレス→副腎皮質を介してコルチゾール等の糖質コルチコイドが分泌される、HPA(hypothalamic-pituitary-adrenal axis)経路→グルココルチコイド(GC)→グルココルチコイドレセプター(GCR)→がん進展・抑制因子→細胞がん化というメカニズムが注目されるようになってきたが、HPA経路が、がん発症・進行に関与する分子生物学的メカニズムの解明には到っていない。HPA経路とがん進展のメカニズムの関連が遺伝子、タンパク、個体レベルで解明できれば、精神的ストレス解除に関する行動療法やHPA経路に関する薬理学的療法の開発につながると考えられる。また、GCのようなストレス伝達物質はがんの進展に影響しているばかりでなく、多くの生体機能に関与していると考えられる。例えばHPAのような経路との関連を新たに特定することは、広く薬物療法、免疫学的療法の開発にも役立つと期待される。そこで、HPA経路が、がんの発症・進行に関与する分子メカニズムについて検討した。 マウスの種々の腫瘍細胞を24時間コルチゾール添加培地で培養すると、通常培地での培養と比較して、有意に高い増殖率が認められた。デキサメタゾンを添加した培養でも、48時間後、72時間後で同様の結果が得られた。しかしながら、一定以上の濃度では逆に増殖が抑制され、腫瘍細胞の増殖促進に適した糖質コルチコイド濃度が存在することが示された。さらに種々のヒト腫瘍細胞に関してもマウス腫瘍細胞と同様の効果が見られた。これらのコルチゾールの増殖効果および低酸素の環境と、GCR・GCとの関係、がん関連遺伝子との関連について現在解析を進めている。本研究の結果、腫瘍の発症、増殖、進展に対するHPA経路の寄与について、重要な知見を得ることができた。
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Research Products
(3 results)