2013 Fiscal Year Research-status Report
鍼通電刺激を用いた、心血管疾患リスク軽減のための外部制御システムの探索
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24700768
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
中原 英博 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 准教授 (90514000)
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Keywords | 鍼通電刺激 / 心拍数 / 血圧 |
Research Abstract |
平成25年度の研究では、被験者18名に対して、膝下に存在する足三里穴(WHO;ST36)に鍼を刺鍼し通電刺激を行い、降圧及び徐脈効果を検証し、前腕でのそれらの効果と比較検討を行った。鍼は、ステンレス製鍼、直径0.16㎜、長さ40㎜を使用し、鍼の通電刺激条件は、これまでの研究結果で明らかになった刺激周波数1Hz、刺激強度5Vの条件で、鍼刺入部位より下方10cmに電極を貼り付け、その間に刺激を行った。実験プロトコールは、安静2分、その後に6分間刺激を行った。また、鍼を足三里穴に刺鍼し、通電刺激を行わず、8分間座位安静状態を維持するコントロール条件と比較した。本研究の結果、刺激中の平均血圧は、刺激前と比較して有意に低値を示した(刺激前;82.4±12.7mmHgから刺激後;79.4±10.2mmHg)。刺激を行わないコントロール条件では、刺激前と比較して有意な降圧効果は認められなかった(刺激前84.3±10.4mmHgから刺激後83.1±12.6mmHg)一方、心拍数に関しては、5Vの刺激条件およびコントロール条件ともに、有意な変化は認められなかった。平成24年度までに行った研究において、前腕の部位に対する鍼通電刺激においては、有意な降圧(-平均4mmHg)及び徐脈(-平均4拍/分)が確認されていることから、膝下に対する鍼通電刺激においては、同等の降圧効果は認められるが、徐脈効果は見られないことが明らかになった。 これらの事実に加えて、平均血圧が95mmHg以上の血圧が高めの被験者5名に対して、刺激頻度1Hz・5Vの刺激強度で鍼通電刺激を行った結果、平均3.5±6.5mmHgの降圧効果が確認された。これらの結果から、血圧値が正常範囲内の健常者に対する、鍼通電刺激がもたらす徐脈及び降圧効果には、刺激前のベースラインの血圧値の差は影響しないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画である、最適な刺激強度の研究はおおむね順調に進み、鍼通電刺激を行う部位の違いによって、その効果が影響を受けることが明らかになった。これらの研究成果の一部は、7月末に開催されたバイオメカニズム学会において、その成果を発表した。また、平成26年9月17日より開催される、ライフエンジニアリング学会のオーガナイズセッションにおいて、「安静時の血圧・心拍反応を惹起する最適な鍼通電刺激条件の探索」というテーマで発表を行う予定である。これらの内容については、現在国際誌に投稿するために準備をすすめている。 一方、鍼通電刺激が惹き起こす、徐脈及び降圧効果のメカニズムについては、未だに課題が多く、解明するには至っていない。平成25年度に購入した心電図装置は、ノイズが少なく、心拍変動等の解析に耐えうるデータ収集が可能なため、今後解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの研究において、降圧および徐脈効果をもたらす、最適な鍼通電刺激条件の刺激周波と強度、そしてその部位差が確認できた。しかしながら、鍼通電刺激によってもたらされる、降圧及び徐脈の効果を引き起こすメカニズムに関しては、未だに不明な点が多く、続けて検討する必要がある。自動血圧計及び心電図計などの実験設備は整いつつあるため、それらを利用し解明を進めたい。また、中高齢者に対するデータの収集も上記のメカニズムの解明と並行して行い、心血管疾患のリスク軽減に利用可能な、鍼通電刺激方法を確立したい。
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Research Products
(6 results)