2013 Fiscal Year Research-status Report
運動と食事による異所性脂肪の変化と転写因子の遺伝子多型に関する研究
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24700769
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
飛奈 卓郎 長崎県立大学, 看護栄養学部, 講師 (60509678)
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Keywords | 骨格筋 / ミトコンドリア / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
骨格筋や肝臓は血糖の調整を行う重要な器官であり、これらの器官に蓄積する脂肪(異所性脂肪)が増加するとインスリン抵抗性を惹起して糖尿病の危険因子となる。本研究では、運動トレーニングや食事制限による異所性脂肪の変化に影響を与える遺伝的要因について調査を行った。 PGC-1遺伝子Gly482Ser多型では、運動群46名、食事群32名について検討を行い、併用群は13名と対象者数が少ないため次年度も継続して分析を行い検討する。運動群はSer/Serが少人数であるため、Gly/GlyとGly/Ser+Ser/Serで比較を行ったところ、体脂肪率の減少がGly/Glyで有意に大きく、大腿筋内脂質の指標であるCT画像のHounsfield scale (HU)(0-29)の減少もGly/Glyが大きい傾向(p=0.054)を示したが、日常の身体活動量などを考慮して慎重に検討する必要がある。食事群ではこのような差は認められなかった。 PPARδ遺伝子T294C多型では、運動群65名、食事群49名、併用群22名について検討を行った。C/Cの発現頻度が少ないため、運動群と食事群はT/TとT/C+C/C、併用群はT/TとT/Cで比較を行った。運動群ではT/Tの内臓脂肪面積の減少がT/C+C/Cと比べて大きい傾向(p=0.0948)を示した。食事群では、T/Tの体重とBMIの減少がT/C+C/Cと比べて大きく、体脂肪量も減少が大きい傾向(p=0.091)を認めたが、肝臓や大腿筋の異所性脂肪に差は認めなかった。併用群ではこの遺伝子多型間で身体組成や異所性脂肪の変化に差を認めなかった。 今後、骨格筋ミトコンドリア量(mtDNA)を評価して遺伝子多型や大腿部の異所性脂肪との関連を調査する予定であり、現時点で71名の介入前後のmtDNAの分析が終了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画時に予定していた遺伝子多型とミトコンドリア量の分析の立ち上げが完了した。またCTからの異所性脂肪の解析も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までに、遺伝子多型解析と骨格筋ミトコンドリアの分析立ち上げが完了して、研究サンプルの分析が進んでいる。遺伝子多型解析と異所性脂肪の関係については本年度は100名の追加をして運動群・食事群・併用群・観察群の比較をする。骨格筋ミトコンドリア量は現時点で71名の解析が終了しており、本年度は更に60名の分析データを追加して遺伝子多型との関連性を調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
CT解析補助のアルバイト依頼を短縮することができたため、人件費・謝金に余裕ができた。 人件費・謝金として予定していた予算を分析試薬や消耗品で使用し、計画時よりも分析項目を増やして詳細なデータを得る。
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