2012 Fiscal Year Research-status Report
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24700770
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
Principal Investigator |
加藤 えみか 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 流動研究員 (90586439)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 姿勢調節 / 筋特性 / 共働筋 |
Research Abstract |
転健常な成人男性13名(26.2 ±3.9歳)を対象として安静時の静止立位(Quiet Standing: QS)試行と、低速(0.2 Hz)での随意的な前後動揺(Voluntary Sway: VS)試行をそれぞれ床反力計上で60秒間行った。QS試行は1 m前方に設置されたモニタを注視して60秒間の安静立位を保持し、VS試行はモニタ上に提示された信号を被検者が随意で行う前後動揺により追従する試行であった。その際の筋活動をヒラメ筋(SOL)、腓腹筋内側頭(MG)、前脛骨筋(TA)から1000Hzで導出した。筋束長変化を取得するために超音波Bモード法でSOLとMGを30Hzで撮像した。床反力計から算出された足圧中心(Center of Pressure: CoP)と底屈筋群から導出されたEMG信号について相互相関関数(Cross-Correlation Function: CCF)解析を行い、両変数の波形の類似性を検討し、各々の時間差を求めた。 SOL、MG共にQS試行と比較してVS試行で有意に低値を示した(p<0.05)。また、両試行でCoPが前方へ移動する際にSOL、MGともに筋放電が増加して、筋束長が短縮する傾向がみられた。CoPと筋放電の各試行での相関係数は全ての組み合わせで有意であったCoPが前方へ移動する際のSOLの筋放電の開始はQS試行においてMGよりも早く(p<0.05)、VS試行ではMGの方がSOLよりも早かった(p<0.05)。 SOL、MGともに、VS試行でQS試行よりも筋束長が短かったことはVS試行で常に筋活動が生じて、それに応じた筋収縮が生じたためであると考えられる。CoMが前方に移動する際に筋束長はSOL、MGともに短縮する傾向にあった。以上から、共働筋であっても立位姿勢時の重心位置に伴う収縮活動のタイミングが異なることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6 研究を開始した初年度において,多くの被験者を対象とした測定を計画していたが被験者集め等で難航したため,申請時には3年目以降に想定していた実験を前倒しで行った.実施した実験は床反力系の上で安静立位姿勢を保つ試行と,被験者の随意的な前後動揺を実施する試行であった. 前後動揺を実施する試行において,筋力やバランス能力が低下している高齢者では転倒の恐れも想定できたため,高齢者と比較すると転倒の恐れの低い若年男性を被験者として採用した.この実験において,分析方法や実験プロトコルの組み立て方などほぼ確立しつつある. これにより,2年目以降は様々な被験者を対象として実験を行えるだけの基礎固めができたため,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
バランス能力に対して筋腱複合体の形状および力学的特性の加齢変化が及ぼす影響を明らかにするために20~70歳代の男女を対象として実験を行う。バランス能力を評価する課題として開眼および閉眼での両足支持、開眼での片足支持および、任意の速度での前後方向の自発的な動揺を想定している。この際にCOPの移動(前後,左右,総移動距離)、下腿の筋の筋放電および筋束長変化を取得する。 また、筋腱複合体の力学的特性の評価には最大随意での底屈トルク発揮や、底屈トルク発揮時、および足関節の受動背屈中の筋組織および腱組織のスティフネスなどを取得する。 さらに、筋形状の指標として下腿の筋の筋厚、羽状角、筋硬度を測定する。また、ストレッチングなどの介入により、関節の力学的特性(スティフネスなど)が変化した際に、姿勢の調節能力に対してどのような影響を及ぼすかを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請者の所属機関が変更になったため以下の機材の購入を想定している。 ・筋電図法を用いるためにアンプとセンサの購入(それぞれ65万円と15万円程度) ・残りの10万円は学会参加費や被験者の謝金に充てるつもりである
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