2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700770
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
加藤 えみか 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 契約研究員 (90586439)
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Keywords | 運動介入 / 中高齢者 / フィールドテスト / 筋力 / 足圧中心 |
Research Abstract |
健常な成人および高齢者11名(58.5±7.3歳,157.8±5.5 cm,55.0±6.3 kg)を対象として12週間にわたる体操教室を実施した.参加者の年齢は48歳から72歳までであり,すべて女性であった.参加者の中に特別な運動トレーニングを行っているものはいなかった.体操教室は週に1回実施され,ストレッチング,バランストレーニング,筋力トレーニングを含む体操を1時間程度実施した.体操教室の前に運動の意義やトレーニングの目的などの教育講座を行った. 体操教室の前後で,筋力やバランス能力を測定した.測定項目は膝関節伸展・屈曲トルク,股関節屈曲筋力,足関節底屈・背屈トルク,客伸展パワー,ファンクショナルリーチ,通常歩行速度,最大歩行速度,椅子の座り立ちテストであった.また,筋量の指標として,下腿三等筋および前脛骨筋の筋横断面積をMRIを用いて測定した.さらに,静的バランス能力に運動介入が及ぼす影響を調べるため.床反力形状で両脚支持での静的開眼立位,片脚支持での静的開眼立位試行を実施した.その際に足圧中心(COP)の移動と下腿の筋活動を取得した. その結果,膝関節屈曲トルク,足関節底屈トルク,背屈トルク,脚伸展パワー,椅子の座り立ちテスト,前脛骨筋の筋横断面積が有意に向上していた.下腿三等筋の筋横断面積は増加した傾向が見られた.また,静的バランス能力の測定では両脚支持および片脚支持の開眼時に下腿三等筋外側頭の筋放電が有意に減少し,片脚支持の開眼時での足圧中心の移動速度が有意に減少していた. 以上の結果から週に1回の運動介入であっても中年期から高齢期にかけての参加者に対して筋量の増加および運動機能の向上がみられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は様々な年代の測定を前半に行う予定であったが,筆者が2013年4月より別の機関に異動したため先に高齢者のトレーニング実験を行った. トレーニング実験はその前後の測定を含めた実験への参加期間に対して被検者の負担が大きいため,平成25年度にトレーニング実験を行えるタイミングであったので前倒しで実施した. この実験により,各年代の被検者数はまだ十分ではないが40歳代から70歳代までの身体的な特徴とバランス能力に対するストラテジの傾向をみることができ,さらに,運動介入によりそれらがどのように変化するかを確認することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年で取得できた女性中高齢者のデータをさらに増やしていきたいと考えている. 具体的には20歳代から30歳代の男女を対象として,筋形状や筋量などの解剖学的な測定と,筋力や筋放電量,筋のスティフネスなどの生理学的な測定を合わせて行い,それらが姿勢調節のストラテジとどのように関連しているかを検討することを想定している. さらに,これらの指標が疲労やストレッチングなどの介入を行った際に変化するのかを明らかにした上で,介入後の姿勢調節にはどのようなストラテジを取るべきかを明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
受給者が所属機関を異動したため,想定していた実験計画に変更が生じている. そのため,当初の使用予定とは異っている. 電極などの消耗品の購入,被検者や検者への謝金,論文投稿の際の英文校正や投稿料として使用する. また,国際学会参加のための旅費として使用する.
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