2013 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪肝発症におけるPEX11alpha遺伝子の機能解析
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24700776
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
翁 華春 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 非常勤研究員 (80598053)
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Keywords | ペルオキシソーム / 脂肪酸代謝 / 脂肪肝 / 中性脂肪蓄積 / 増殖 |
Research Abstract |
ペルオキシソームは脂肪酸代謝を行う細胞内の小器官である。ペルオキシソームは前ペルオキシソームの伸長分裂及び小胞体起源の2つのルートを介して増殖することが知られており、培養細胞実験でPex11a遺伝子がペルオキシソームの伸長分裂に関与することが報告されている。そこで本研究では、動物でのペルオキシソーム機能を調べるため、Pex11a欠損マウスを用いて、Pex11a遺伝子が肝臓のペルオキシソームの増殖や脂肪酸代謝に関与し、肝臓での中性脂肪蓄積が増悪するかを検討した。前年度の研究において、Pex11a欠損マウスは肥満や脂肪肝になりやすく、その背景には肝臓のペルオキシソームの減少、脂肪酸代謝関連遺伝子の発現レベルの低下があることが分かった。今年度は、免疫電子顕微鏡法を用いて、ペルオキシソームの形態を分析した結果、Pex11a欠損マウスでは小さくて丸いペルオキシソームが多いことが明らかとなった。これはPex11aの欠損により、ペルオキシソームの伸長機能が低下し、代償的に小胞体起源のペルオキシソームが主体となることが原因であると考えられる。この時、Pex11a欠損マウスでは、ペルオキシソームの表面たんぱく質の発現量に対するペルオキシソーム内の脂肪酸代謝酵素の発現量が低下していたことから、機能を持たないペルオキシソームが増加していると考えられた。また、ペルオキシソーム生成促進物質であるフェノフィブレートの投与により、Pex11a欠損マウスは野生型マウスとともに体重増加が抑制され、ペルオキシソームの数及び脂肪酸代謝関連酵素が増加した。以上の結果から、Pex11a遺伝子は肝臓のペルオキシソームの伸長分裂機能及び脂肪酸のベータ酸化に関与することが明らかとなり、Pex11a及びペルオキシソームをターゲットとして、肥満や脂肪肝に対する新しい候補薬となる可能性があると示唆された。
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Research Products
(3 results)