2013 Fiscal Year Research-status Report
幼稚園・保育所における父親を対象にした子育て支援策の効果の検証
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24700782
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
田辺 昌吾 四天王寺大学, 教育学部, 講師 (00512831)
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Keywords | 父親 / 保護者支援 / 保育者の専門性 / インタビュー調査 |
Research Abstract |
今年度は昨年度の研究実績を踏まえ、父親同士のつながりや父親に対する支援内容を明らかにするため、研究代表者がこれまでに実施した乳幼児をもつ父親を対象とした質問紙調査のデータを再解析し、「子育てにおける情緒的支援および情報的支援が父親のウェルビーイングに及ぼす影響」として論文化した。本論文を学会誌に投稿し(査読を通過)、平成26年10月刊行予定となっている。本論文の結果から示唆された主な内容は、1)父親同士の交流の機会を積極的に提供すること、2)当事者性の高い支援が父親に有効に働くことから、専門家はできる限り当事者性を意識して情報提供などのかかわりをもつこと、であった。 上記結果を踏まえ、保護者とかかわる上で保育者に必要とされる専門的力量とはどのようなものかを明らかにするため、幼稚園・保育所に勤務する保育者を対象にインタビュー調査を実施した。具体的には、幼稚園園長3名、幼稚園学年主任保育者4名、保育園園長1名の計8名を対象に実施した。その結果、保護者とのかかわりにおける専門的力量は、「大人としての対人関係力」「大人としての対人関係力を支える素質」「子どもの保育と連動させる力」の3つの要素からなる仮説が導かれた。本結果を平成26年5月に日本保育学会で「家庭と連携した保育を展開するための保育者の専門的力量」として発表する予定であり、また本結果の仮説の検証を、平成26年度中に実施予定の質問紙調査から検討する計画である。 また、父子間、夫婦間、他の父親との交流の機会を提供するため、地域子育て支援拠点事業主催「パパが作るファミリー運動会」の企画・運営に携わった。本拠点事業において父親サークルを組織し、積極的に活動している父親の方々と協働し、大盛況のイベントを開催することができ、理論的内容と実践的内容を融合させることに努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度前半に調査データの再解析を行い、その結果、当初予定していた保育者対象の質問紙調査を実施する以前に、質的データを収集する必要性を強く感じたため、保育者を対象としたインタビュー調査を優先して実施した。そのため、平成25年度に実施予定であった質問紙調査の実施が平成26年度にずれこんだ。しかし、インタビュー調査の結果を質問紙調査の内容に反映させ、よりよい調査設計が行えている。 また、乳幼児を子育て中の父親を対象とした質問紙調査について、国の推進する施策の動向を踏まえ、調査時期の再検討が必要であると判断した。具体的には、平成27年度開始予定の子ども・子育て支援新制度に関連して、平成25年度中に多くの自治体において子ども・子育て支援に関するニーズ調査(質問紙調査)が実施された。本調査対象者は、当該科研で実施予定であった質問紙調査の対象者と重なり、全国的な大規模調査であったため、調査対象者の負担や回収率を考慮し、自治体のニーズ調査と本科研調査の実施時期をずらす必要性を感じた。そのため、父親を対象とした質問紙調査は平成26年度以降の実施予定とした。
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Strategy for Future Research Activity |
幼稚園・保育所を対象とした施設調査(第一次質問紙調査)と父親および保育者を対象とした第二次質問紙調査のうち保育者を対象とした調査について、同一の質問紙において実施することで、一層の研究の進展を図る。また、第二次質問紙調査のうち父親を対象とした調査については、自治体の子ども・子育て支援ニーズ調査の実施状況を勘案しながら、調査協力を依頼する幼稚園・保育所の施設長とも相談のうえ、可能な限り平成26年度中の実施を目指す。 また、平成24、25年度から引き続き、地域子育て支援拠点事業の父親および支援者と協働し、理論と実践の融合に努める。 さらに、平成26年5月に学会発表した内容を論文化し、学会誌あるいは大学紀要に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中に実施予定であった質問紙調査が実施できなかったため、次年度への繰越金が生じた。 平成26年度中に保育者対象の質問紙調査および父親対象の質問紙調査を実施する計画であり、繰越金は調査用紙の印刷費、郵送費、調査実施の謝礼費として施行する計画である。
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